薬の正しい飲み方をご存じですか?薬は「食後」「食間」など、決められたタイミングや飲み方を守ることで効果が期待できます。一方、飲み方を誤ると効果が弱まったり、思わぬ副作用につながることもあるのです。
今回は、薬の飲み方に関する基本ルールをご紹介します。さらに、「飲み忘れた」「水以外で飲んでしまった」といったよくあるトラブルの対処法についても、クイズ形式でご紹介します。
薬の正しい飲み方とは?守るべき「3つの基本」
薬の安全性と効果は、「用法」「用量」「服用期間」の3つを正しく守ることで担保されます。
用法を正しく守る
薬は種類によって「1日3回毎食後」「1日1回朝食後」など、服用の頻度やタイミングが決められています。これは、胃の中の食べ物の有無によって吸収のされ方が変わったり、体内時計に合わせて効果が発揮されるためです。
自己判断で服用のタイミングを変えると、効果を十分に得られないだけでなく、副作用につながる可能性があります。

用量を正しく守る
「早く治したいから薬を多めに飲もう」と思ったことはありませんか?
実は、決められた量を超えて服用しても効果が高まるわけではなく、むしろ副作用につながる場合があるのです。
薬の量は、体内で安全かつ効果的に作用するよう計算されています。自己判断で増やしたり減らしたりせず、処方された用量を守って服用しましょう。
服用期間を正しく守る
「熱が下がったから」「痛みが治まったから」と、途中で服用をやめてしまうのは禁物です。特に「抗菌薬(抗生物質)」は、中断すると再発や完治が遅れる可能性があります。また、原因菌を排除しきれず、細菌自体が薬に抵抗する力(耐性)を持ってしまうこともあります。
一方で、頭痛薬や便秘薬のように症状が出たときだけ飲む「頓服薬(とんぷくやく)」は、自己判断で服用をやめてもかまいません。判断に迷うときは、医師や薬剤師に相談してください。
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薬の飲み方に関するよくあるトラブルと対処法
Q.問題
薬を飲み忘れてしまったときはどうすれば良いですか?

A.解答
まずは、次の服用時間を確認しましょう。

次の服用までの時間に余裕がある場合は、気づいた時点で忘れた分を服用してください。次の服用までの時間が短い場合は、忘れた分の服用は見送り、次の服用時間に1回分を予定通り服用します。2回分をまとめて服用するのは避けてください。
薬を飲み忘れてしまった
飲み忘れに気付いたら、まず次の服用時間を確認しましょう。一般的な目安として、次の服用までに以下の時間以上の余裕がある場合は、気付いた時点で1回分服用してください※1。
- 1日3回服用する薬:次の服用まで4時間以上
- 1日2回服用する薬:次の服用まで5時間以上
- 1日1回服用する薬:次の服用まで8時間以上
※1 あくまで一般的な目安であり、薬の種類によって異なります。
次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分の服用は見送り、次の服用時間に1回分だけ予定通り服用してください。2回分をまとめて服用してはいけません。
なお、糖尿病の治療薬など、薬の種類や症状によっては飲み忘れ時の対応が異なる場合があります。不安なときは、かかりつけの医師や薬剤師に確認しましょう。
誤って薬を多く飲んでしまった
薬を多く飲んでしまった場合、まずは落ち着いて以下を確認してください。
- 飲んだ薬の名前と量
- 飲んだ時間
- 現在の体調
飲んでしまった量が多い場合は、薬局や医療機関に相談しましょう。もし、息苦しさや意識の遠のきを感じた場合は、すぐ周囲に助けを求めるか、119番へ連絡してください。
また、周囲の方が「呼びかけに反応しない」「呼吸がおかしい」など、明らかな異変に気付いた場合も、ためらわずに救急車を呼びましょう。薬の過剰摂取で不安なことや受診すべきか判断に迷う場合は、専門の相談窓口である日本中毒情報センターの「中毒110番」へ電話をし、専門家の指示を仰いでください。
錠剤や粉薬が「服用しにくい」「むせる」
「錠剤が喉につっかえる」、「粉薬にむせてしまう」という場合は、ちょっとした工夫で服用しやすくなります。
- 錠剤
口に水と錠剤を含み、少し上を向くと喉の奥に落ちていきやすくなる - カプセル剤
水に浮きやすいカプセル剤は、口に水とカプセルを含んで、少し下を向く(あごを引く)と飲みやすくなる - 粉薬
・粉薬をオブラートに包み、水に濡らしてから口に入れると、張り付きにくく飲みやすい
・口に水を含み、その中に薬を包んだオブラートを入れる方法や、スプーンに薬を包んだオブラートを乗せて水を垂らす方法もある
どうしても難しい場合は、別の剤形へ変更できる場合もあります。自己判断で服用をやめてしまわず、まずは医師や薬剤師に相談してみましょう。
薬を服用する適切なタイミングはいつ?時間の目安と理由
Q.問題
薬の服用指示が「食間」の場合、いつ服用するのが正しいですか?

A.解答
食事と食事の間(前の食事から約2時間後)です。



「食後」や「就寝前」など、薬によって服用のタイミングが決められていますが、そもそも、なぜ時間を守る必要があるのでしょうか?
ここでは、薬袋でよく見る指定時間の目安と、そのタイミングで服用すべき理由をまとめました。
- 【食前】食事の約30分~1時間前
胃に食べ物がない状態の方が吸収されやすい薬や、食事の前に効果を出しておきたい薬に指示されます。 - 【食直前】食事の直前
「いただきます」のタイミングで服用する薬です。また、食後の身体の変化に合わせて、速やかに効果を出したい薬も該当します。 - 【食直後・食後】食事が終わったあとすぐ・食後約30分以内
胃の中に食べ物がある状態で飲むことで、胃への負担をやわらげる目的があります。また、食事に含まれる油分を利用して、薬の吸収を良くするタイプの薬もあります。 - 【食間】食事と食事の間・前の食事から約2時間後
「食事と食事の間」のことで、食事の最中という意味ではありません。
胃の中が空になり、食事や胃酸の影響を受けにくいタイミングで、薬本来の吸収の良さを活かしたい場合などに指定されます。 - 【就寝前・就寝直前】就寝の約30分前・就寝の直前
寝ている間に効果を発揮する薬や、眠気が出て日中の活動に支障が出る薬などに指示される用法です。 - 【頓服(とんぷく)】症状が出たとき
速効性が高く、いま起きているつらい症状を抑えたいときに服用する薬です。
薬袋の指示をしっかり確認し、正しい時間での服用を心がけましょう。
水以外はNG?薬と飲み物の関係
Q.問題
晩酌する日や飲み会がある日は、いつも飲んでいる薬を飲まない方が良いですか?

A.解答
原則、お酒と薬の相性は良くありません。

ですが、薬を飲まない場合の体調・症状悪化のリスクも考慮する必要があるため、服用方法など事前に医師や薬剤師に相談しましょう。
薬は水またはぬるま湯で服用するのが原則
薬は、コップ1杯(約180〜200ミリリットル)ほどの水またはぬるま湯で服用することを前提に作られています。水の量が少ないと薬が喉や食道に残ってしまい、効果が弱まったり、薬が張り付いた部分で炎症を起こしたりする可能性があります。
ただし、一部の薬や病状によっては、あえて少量の水で服用する場合もあります。

薬との相性が良くない飲み物
水やぬるま湯以外の飲み物は、薬の吸収や効果に影響を与える場合があります。特に注意が必要な飲み物をまとめました。
| 飲み物 | 医薬品の例 | 相互作用による影響 |
|---|---|---|
| 酒類(アルコール) |
|
薬の効果が弱まる、または強まり、予測できない反応が起こるリスクがある。 |
| 牛乳 |
|
カルシウムや鉄と成分が結びつき、薬の効果が弱まる。 |
| 硬水(ミネラルウォーター) |
|
カルシウムやマグネシウムが薬の成分と結びつき、吸収が妨げられる。 |
| 緑茶、コーヒー(カフェイン含有飲料) |
|
カフェインの作用が重なり、動悸(どうき)や不眠が起こりやすくなる。 |
相性が悪い飲み物を飲んでしまったときの対処法
うっかり飲み合わせが良くない飲み物で薬を飲んでしまった場合は、まずは落ち着いて、以下を参考に対応してください。
- 体調の変化を観察する
安静にして、気分の悪さ・動悸・めまいなどがないか、注意深く観察しましょう。 - 自己判断で薬を追加しない、無理に吐き出さない
「効果がなくなったかも」と思って追加で飲んだり、無理に吐き出そうとしたりするのは、かえって身体への負担が増えることがあります。 - 体調の変化を感じたら医師や薬剤師に相談する
少しでも体調の変化を感じたら、すぐに医療機関や薬局へ連絡してください。 現時点で症状がない場合でも、数日後に影響が出るケースもあるため、しばらくは体調変化に気を配りましょう。
夜間・休日の相談先として、医師や看護師から電話でアドバイスを受けられる「#7119(救急安心センター事業)」、子どもの場合は「#8000(子ども医療電話相談)」があります※2。
いざというときに備えて、確認しておくと安心です。
※2 それぞれ短縮番号に電話をかけると、医師や看護師からアドバイスを受けられます。
食べ物にも注意が必要
飲み物だけでなく、食べ物との相性にも注意が必要です。例えば、グレープフルーツは高血圧の薬(カルシウム拮抗薬)の効果を過度に高め、副作用につながる場合があります。
また、ワルファリン(血液を固まりにくくする薬)は、納豆により効果が弱まってしまいます。薬を処方・購入された際は、「食べてはいけないものはありますか?」と薬剤師に確認すると、より安心です。
市販薬などで注意したい「薬同士の飲み合わせ」
Q.問題
頭痛や生理痛を抑えるために「鎮痛剤」を使っているのですが、かぜの症状が出てきました。
一緒に「市販のかぜ薬(総合感冒薬)」を飲んでも良いですか?

A.解答
成分の重複によって効果が強まり、副作用のリスクが高まるため、注意が必要です。
医師や薬剤師に相談してください。

成分の重複・過剰摂取につながる飲み合わせ
市販のかぜ薬(総合感冒薬)には、解熱鎮痛成分・鼻水を抑える成分・せき止めなど、複数の成分が含まれています。そのため、アレルギーを抑える薬や鎮痛剤をすでに飲んでいる場合は、成分の重複による過剰摂取に注意が必要です。
市販薬を選ぶ際には、登録販売者や薬剤師に、いま服用している薬を伝えたうえで相談しましょう。
サプリメントと薬の飲み合わせ
サプリメントや健康食品にも、薬との相性が良くないものがあります。
- カルシウム・鉄分のサプリメントと抗菌薬
薬が吸収されにくくなり効果が弱まることがある - ビタミンKを多く含む健康食品(青汁・クロレラなど)とワルファリン
ワルファリンの効果を打ち消してしまう
サプリメントや健康食品を日常的に摂取している方は、自己判断で一緒に服用するのは控え、あらかじめ医師や薬剤師に確認しましょう。
飲み合わせについて不安な場合は、医療機関やかかりつけの薬局のほかに「PMDAくすり相談窓口」でも相談ができます。
薬の疑問や不安は医師・薬剤師に相談を
薬は、用法・用量を守ることで十分な効果が期待できます。成分の重複や相性の悪い飲み合わせを防ぐために、処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントの情報をお薬手帳にまとめておくと安心です。
アイン薬局の公式アプリ「いつでもアイン薬局」の「お薬手帳」は、市販薬やサプリメントも登録でき、薬を一括管理できるためとても便利です。外出が難しいときや、心配なことがある際にもご活用ください。
また、スマートフォンでお薬手帳の内容を確認できるだけでなく、薬の飲み忘れを防ぐアラーム機能や、薬剤師にいつでも相談できる「安心お薬サポート※3」も無料※4で利用できます。
※3 ご利用には公式アプリにおいて「アイン薬局とつなぐ」のご登録が必要です。
※4 アプリやシステム利用料は無料ですが、ダウンロードやご利用時にかかる通信料は患者さまのご負担となります。
参考文献・資料
- 厚生労働省「特集 あなたは大丈夫? 間違いやすい、誤解しやすい 薬との付き合い方」
- 東京都健康安全研究センター「内服薬の飲み方」
- 厚生労働省・日本薬剤師会「知っておきたい薬の知識」
- 国立健康危機管理研究機構 AMR臨床リファレンスセンター「薬剤耐性はどのようなときに起こるのか 不適切な処方・不適切な服用」
- 横浜市「クスリの正しい使い方、知っていますか?」
- 総務省消防庁「救急車の適時・適切な利用(適正利用)」
- 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」
- PMDA「Q3 ワルファリンを飲んでいますが、納豆、クロレラ、青汁などの摂取を避けるように指導されました。なぜ、食べてはいけないのですか?」
- 厚生労働省「アセトアミノフェン(医療用医薬品)の「使用上の注意」の改訂について」
- PMDA「全国のくすり相談窓口」
記事監修
石黒 貴子
薬剤師/薬剤師歴27年











