これって水虫?似ている病気との違いや自己判断の落とし穴

足の皮むけやかゆみは、水虫とは限らないため注意が必要です。実は水虫にそっくりな症状の病気は多く、医師も見た目だけでは判断に迷うケースがあります。自己判断で市販薬を塗ってしまうと、症状を悪化させたり、本当の病気を見逃したりするリスクがあります。今回は、水虫と間違いやすい代表的な皮膚疾患との確実な見分け方をご紹介します。

水虫の正体とは

水虫は、カビの一種である白癬菌(はくせんきん)という菌による感染症です。この菌が、足の皮膚の表面にある角質層に入り込み、増殖することで、かゆみや皮むけといった症状が起こります。

足がかゆくなると、多くの方は水虫を思い浮かべるかもしれません。しかし、足の水ぶくれやかゆみは、外部刺激や皮膚の炎症、あるいはほかの疾患など、水虫以外の原因でも同じような見た目で現れることがあります。そのため、見た目だけで水虫かどうかを確実に判断することは、皮膚科の専門医であっても難しい場合があります。

水虫が起きる仕組みと原因

水虫は、白癬菌という真菌(カビ)が皮膚に感染して起こる病気です。白癬菌は、皮膚の角質層に侵入し、ケラチンというタンパク質を栄養源にして増殖します。

白癬菌が活発になるのは、温度15℃以上、湿度70%以上の湿気が多くて温かい環境です。常に靴や靴下で覆われている足は、温度と湿度が上がりやすく、菌にとって増殖しやすい条件が揃っています。そのため、特に高温多湿になる春から夏にかけて症状が悪化しやすくなります。

水虫の種類と主な症状

足にできる水虫には、皮膚に生じる足白癬(足の水虫)と、爪に生じる爪白癬(爪の水虫)の2種類があります。さらに足白癬は、症状が現れる場所や見た目の特徴によって大きく3つのタイプに分けられます。

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種類 タイプ 特徴
足白癬
(足の水虫)
趾間型
(しかんがた)
  • 最も多くみられるタイプ
  • 足の指の間にできやすく、指の隙間が狭く蒸れやすい部分(薬指と小指の間など)に多い
  • 赤くしっとりした状態や、白っぽくジュクジュクとふやけたようになる
  • こすれると痛みを感じる
小水疱型
(しょうすいほうがた)
  • 足の土踏まずのまわりや足のふちに、たくさんの小さい水ぶくれができる
  • 水ぶくれが次第に破れ、皮がむける
  • つぶしてしまうと白癬菌が周囲に広がる場合がある
角質増殖型
(かくしつぞうしょくがた)
  • 比較的まれなタイプ
  • 足の裏全体の皮が白く厚くなる
  • 粉をふいたような見た目やひび割れが起こる
  • 季節関係なく症状の変化が乏しい
爪白癬
(爪の水虫)

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  • 爪が白や黄色に濁って厚くなる
  • 痛みや歩きにくさが生じて、感染症にもつながる
  • 白い筋ができたり、表面がボロボロと崩れやすくなる
  • かゆみはない

水虫の自己判断やセルフケアのリスク

足にかゆみや皮むけが生じた場合、水虫であることを知られたくなかったり、病院に行くのが面倒だったりして、市販薬で済ませようとすることもあるでしょう。しかし、原因がはっきりしないまま自分の判断でセルフケアを行うと、さまざまなトラブルを引き起こす恐れがあります。

症状の悪化

自己判断で薬を塗ると、症状が悪化してしまう場合があります。例えば、異汗性湿疹(いかんせいしっしん)やかぶれといった別の病気だった場合、水虫薬を塗ることでかゆみや赤みがさらに増してしまうリスクがあるのです。
また、水虫薬の成分が肌に合わない場合や、刺激によってかぶれ(接触皮膚炎)を起こし、症状が複雑化してしまう場合もあります。

家族への感染

水虫だと気付かずに放置してしまうと、知らぬ間に家族にうつしてしまう危険があります。水虫の原因である白癬菌は、はがれ落ちた皮膚(角質)の中で一定期間生存するほど強い生命力を持っているためです。屋内を裸足で歩くと、床やカーペットに菌が付着し、それを家族が踏むことで感染が広がります。自覚がないまま放置してしまうと、意図せず周囲へうつしてしまう可能性があるため注意が必要です。

本当の病気の発見遅れ

実は水虫でなく、別の重大な病気が潜んでいる可能性があります。例えば、手のひらや足の裏にたくさんの水ぶくれができる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)のような全身にかかわる病気や、ごくまれに皮膚がんなど命にかかわる重大な病気が隠れているケースも否定できません。
水虫の薬を塗っているから大丈夫という油断が、本当の病気の発見を遅らせる恐れがあるのです。

水虫と間違えられやすい代表的な皮膚疾患

足のかゆみや皮むけといった症状は、水虫以外の病気が原因であるケースも少なくありません。

汗疱

汗疱(かんぽう)は異汗性湿疹とも呼ばれ、手のひらや足の裏に小さな水ぶくれが多数現れるのが特徴です。また、小水疱型の水虫と見た目が似ています。

水虫は主に足に生じますが、汗疱は手と足の両方にみられることが多く、夏場など汗をかきやすい時季に繰り返し症状が出やすいという性質があります。なお、菌による感染症ではないため、家族や周囲の人にうつる心配はありません。

疥癬

疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニという目に見えないほど小さなダニが、皮膚に寄生することで起こる病気です。激しいかゆみを伴う通常疥癬と、大量のダニが寄生して皮膚が厚くなる角化型疥癬(ノルウェー疥癬)の2つのタイプに分けられます。

通常疥癬は、夜間に眠れなくなるほどの強いかゆみが特徴です。指の間や手首、足などに赤いブツブツや、ダニが皮下を通った跡である線状の盛り上がりがみられます。

一方、角化型疥癬は皮膚がカサカサと厚く、硬くなるのが特徴です。かゆみの程度は個人差が大きく、強いかゆみがある場合とほとんどかゆみがない場合があります。見た目は角質増殖型の水虫と似ていますが、水虫が主に足に生じるのに対し、疥癬は足だけでなくお腹や背中、陰部など全身のあらゆる部位に現れる点が大きな違いです。

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症は、手のひらや足の土踏まずに、膿を伴った2~3ミリの小さな水ぶくれが繰り返しできる皮膚疾患です。水ぶくれは次第に黄色くなり、乾いてくると茶色いかさぶたになって、最後は皮がむけていきます。

小水疱型の水虫の症状とよく似ていますが、掌蹠膿疱症は手のひらにもよくみられるのが特徴です。

接触皮膚炎

接触皮膚炎とは、いわゆるかぶれのことです。靴下や革靴、特定の物質が皮膚に触れることで、赤みやかゆみ、水虫と似た水ぶくれなどの症状が現れます。

見分けるポイントは症状の出る範囲です。接触皮膚炎では、原因物質が触れた場所に、はっきりと症状が現れる特徴があります。

角化症

角化症とは、足の裏、特にかかとの角質が硬くなる状態をいいます。乾燥や歩行による皮膚の摩擦などが原因で起こります。

見た目が角質増殖型の水虫と似ていますが、水虫は足の裏全体、角化症は主にかかとにできやすいことが大きな違いです。

亀裂性湿疹

亀裂性湿疹とは、いわゆるあかぎれやひび割れを指します。冬の寒さや乾燥で皮膚が厚くなりパックリと割れてしまう状態です。
同様にひび割れを起こす、角質増殖型の水虫と見分けがつきにくいことがあります。

亀裂性湿疹は冬に悪化し、春から夏には自然に良くなることが多いのに対し、角質増殖型の水虫は一年を通して症状が続きます。
また、亀裂性湿疹は保湿が効果的ですが、水虫の場合は抗真菌薬による治療が必要です。

カンジダ症

カンジダは、水虫の原因である白癬菌と同じく、カビ(真菌)の一種です。足のカンジダ症は、カンジダによって足の指の間が白くふやけたり、赤くただれたりするのが特徴で、見た目やできる部位が趾間型の水虫とよく似ています。

ただし、カンジダ症と水虫の治療期間には差があり、カンジダ症は適切な治療を行えばおよそ2週間で良くなることが多いとされています。一方、水虫は治療に数か月以上が必要で、角質増殖型や爪白癬では半年以上かかることもあります。

爪の変形

爪が変形してしまう爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)は、足の爪が厚く、ガサガサになるといった症状がみられます。足に合わない靴で長い間圧迫されたり、傷ついたりすることが原因で起こります。
見た目が、爪の水虫(爪白癬)とよく似ていますが、症状に違いがあります。水虫は痛みがほとんどありませんが、爪甲鉤彎症は変形した爪が周囲の皮膚を圧迫するため痛みを伴います。特に、靴を履いて歩いたりすると痛みがより増してしまいます。

見た目ではわからない!確実な見分け方は?

足のかゆみや皮むけが生じる病気は多岐にわたり、専門医であっても見た目だけで水虫かどうかの判断は容易ではありません。そのため、確実な診断には顕微鏡検査(鏡検)が行われます。

検査では、症状が出ている部分の皮膚をわずかに採取し、特殊な液体で溶かして顕微鏡で観察します。白癬菌が実際にいるかどうかを直接確認することで、正確な診断が可能になります。めくれたりふやけたりしている皮膚の表面を少量採るだけなので、痛みはほとんど伴いません。検査結果はその場ですぐにわかることが多いため、当日中に適切な治療をはじめることが可能です。

自己判断で市販薬の使用や症状を悪化させないためにも、まずは皮膚科で菌の有無を調べることが大切です。

皮膚のかゆみ・皮むけが水虫とは限らない

足のかゆみや皮むけは、必ずしも水虫が原因とは限りません。水虫と似た症状を持つ病気は多く、自己判断で誤った薬を使い続けると、症状が悪化したり治療が長引いたりするリスクを伴います。
足の皮膚に違和感がある場合は、まず皮膚科や専門医を受診し、顕微鏡検査で白癬菌の有無を正確に確認して、適切な治療を行うことが大切です。

参考文献・資料

記事監修

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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