抗がん薬(抗がん剤)の副作用はいつからいつまで?時期別の症状と一覧

抗がん薬治療をこれから受ける方や開始したばかりの方にとって、最も大きな不安は「副作用」ではないでしょうか。
「いつ、どのような症状が出るのか」「このつらさはいつまで続くのか」という見通しが立たない状態は、心身ともに大きな負担となります。また、副作用が軽い場合に「薬が効いていないのではないか」と不安を感じる方も少なくありません。

今回は、抗がん薬による副作用が起こる仕組みや、症状別の出現時期・持続期間の目安を詳しく解説します。また、「がん領域の専門薬剤師」による副作用への向き合い方や医療者へ相談する際のポイントについてもご紹介します。

主な抗がん薬の種類と副作用が起こる仕組み

抗がん薬の副作用は、薬の種類によって起こりやすいものが異なります。まずは、主な抗がん薬の種類や副作用が起こる理由などをみていきましょう。

副作用が起こる理由

抗がん薬で副作用が起こるのは、薬ががん細胞だけでなく、正常な組織や機能にも影響を及ぼすためです。

抗がん薬には複数の種類があり、それぞれがん細胞の異なる特徴に対して攻撃します。
たとえば、細胞障害性抗がん薬という種類の抗がん薬は、がん細胞の「活発に増殖を繰り返す」、分子標的薬という種類は「がんの増殖や発生に関わるタンパク質をもつ」といった特徴に対して作用します。しかし、正常な細胞も同様の特徴をもつものがあるため、抗がん薬は両者を区別できずに攻撃することがあります。

そのため、がん細胞にダメージを与える作用が健康な部位にもおよび、副作用を引き起こすのです。

抗がん薬の種類と主な副作用

主な抗がん薬の種類と作用機序(薬が効く仕組み)、代表的な副作用は以下のとおりです。

種類 がんに対する作用 代表的な副作用
細胞障害性抗がん薬 がん細胞の合成・分裂を妨げて、増えにくくする
  • 骨髄抑制・感染症
  • 吐き気・おう吐
  • 口内炎
  • 下痢
  • 脱毛
分子標的薬 がんの発症・増殖にかかわるタンパク質や遺伝子に作用する
  • 皮膚障害
  • 悪寒
  • 発熱
  • 血栓症
※標的とするタンパク質や遺伝子によって異なる
内分泌療法薬
(ホルモン療法薬)
ホルモンの分泌や働きを阻害し、ホルモンを利用して増えるがんを攻撃する
  • ほてり
  • 生殖器の障害
  • 関節痛
免疫チェックポイント阻害薬 免疫の働きを整えてがん細胞を攻撃しやすくする
  • 全身の様々な症状(めまい、目の症状、肺炎、皮膚障害、だるさ、脱力感、糖尿病など)

抗がん薬は、がんを攻撃する仕組みによって副作用の現れ方が異なります。

細胞障害性抗がん薬の副作用のひとつである「骨髄抑制」とは、新しい血液成分を作る骨髄の機能が低下し、白血球、赤血球、血小板が減少することです。血液成分の減少という目に見えない体内での変化が原因となり、感染症にかかりやすくなる、貧血、出血が止まりにくくなるなどの症状が引き起こされます。

また、特定の標的を狙う分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬は、細胞障害性抗がん薬とは現れる副作用が異なります。

副作用を確認する2つの視点

抗がん薬の副作用には、患者さま自身が感じるものと、診察や検査などで確認されるものの2種類があります。

  • 自覚症状でわかる副作用
    ・吐き気
    ・口内炎
    ・下痢
    ・だるさ
  • 検査でわかる副作用
    ・血液の異常(白血球、血小板、赤血球などの減少)
    ・腎臓、肝臓、心臓などの異常

治療中、定期的に行う血液検査は、副作用を早期に見つける役割も果たしています。

いつからいつまで?抗がん薬の副作用の種類と時期

抗がん薬の副作用が現れる時期は、副作用の種類によって異なります。あらかじめ「いつごろ、どのような症状が現れやすいか」という目安を知っておくことで、不安の軽減や早めの対処につながります。

全身のだるさ

「身体が重い」「力が入らない」といった全身のだるさは、抗がん薬治療を受ける方の多くが経験する副作用です。

一般的に投与後2〜3日ごろにピークを迎え、次の治療までに徐々に改善していくのが典型的な経過です。ただし、治療の回数を重ねるにつれて、だるさが回復しきらなくなったり、徐々に症状が強まったりするケースも少なくありません。

また、だるさの原因は副作用だけに限りません。がんそのものの影響や、治療に対する精神的なストレスが原因となっている場合もあります。「動くのがつらい」と感じるときは無理をせず、まずは休養を優先しましょう。

骨髄抑制・感染症

血液を作る「骨髄」は細胞分裂が盛んなため、細胞障害性抗がん薬の影響を受けやすい組織です。骨髄の機能が低下すると、血液成分(白血球・血小板・赤血球)が一時的に減少し、以下のリスクが生じます。

  • 白血球の減少(感染症のリスク)
    白血球は体内に侵入した細菌やウイルスと戦う役割を担っています。減少すると免疫力が低下し、ふだんなら感染しないような菌でも体調を崩しやすくなります。
    一般的に、白血球は投与開始から7〜10日ごろに減りはじめ、10〜14日ごろに最も少なくなりますが、3週間ほどで回復します。
    免疫力が低下している期間は、体調を崩している方との接触を控えたり、手洗いうがいなどの感染防止策が欠かせません。
  • 血小板の減少(出血のリスク)
    血小板は、出血を止める働きをしています。
    白血球と同時期か、やや遅れて減少することが多く、数値が低い間は血が止まりにくくなります。
    転倒やけがをしないよう、日常生活での注意が必要です。
  • 赤血球の減少(貧血症状)
    赤血球は、全身の細胞に酸素を運ぶ役割をしています。赤血球が減って「貧血」の状態になると、めまい、立ちくらみ、動悸(どうき)、息切れ、疲れやすさといった症状が現れます。
    副作用の影響が現れるのは投与開始から数週間〜数か月後と、やや遅れて現れるのが特徴です。
    徐々に進行することが多いため、少しずつ息切れが強くなるなどの変化に注意し、無理な運動は控えましょう。

間質性肺炎

間質性肺炎とは、肺の奥にある酸素を取り込むための壁が厚くなり、酸素を上手く取り込めなくなる病気です。肺の炎症や壁自体が硬くなることで起こるケースもありますが、抗がん薬の副作用として現れることもあります。

発症時期は抗がん薬の種類によって大きく異なり、分子標的薬の一部では投与開始から4週間以内(特に2週間以内)に多くみられます。
一方、細胞障害性抗がん薬では数週間から数か月後に現れることもあり、発症のタイミングには個人差があるのが特徴です。

間質性肺炎の代表的な症状は、乾いたコンコンとしたせき(空せき)、息苦しさ、発熱です。また、場合によっては発疹が出ることもあります。階段を登ったり早歩きをしたりしたときに息切れや苦しさが出る際は、必ず主治医や薬剤師にお知らせください。

吐き気・おう吐

吐き気は、多くの抗がん薬で起こる副作用です。起こるメカニズムは完全に解明されていませんが、薬が消化管の粘膜や脳の中の神経を刺激して起こると考えられています。

抗がん薬による吐き気は、投与後1週間ほどで落ち着くケースが一般的です。
また、現れる時期によって以下の3つのタイプに分類されます。

  • 急性おう吐
    投与直後から24時間以内に起こる
  • 遅発性おう吐
    投与後約24時間を過ぎたころからはじまり、2〜5日間ほど続く
  • 予期性おう吐
    「以前、薬で気持ち悪くなった」という記憶や不安から現れる吐き気。個人差が大きいが、女性に強く現れる傾向がある。

現在は吐き気止めの薬を使用することで、日常生活への影響を最小限に抑えられるようになっています。ただし、強いおう吐により食事や水分がほとんど摂れないときは、主治医や薬剤師へ連絡しましょう。

口内炎

口内炎は、抗がん薬によって口の粘膜の再生が妨げられたり、身体の抵抗力が落ちて感染しやすくなったりするために起こる副作用です。
口の中の痛みや腫れ、冷たいものがしみる、口の中が動かしにくいなど、さまざまな症状が現れます。

投与開始後、数日~10日ごろに起こりやすく、2~3週間ほどで徐々に改善するケースが多くみられます。うがいや丁寧な歯磨きなどにより、口内炎を予防、悪化させないことが重要です。

下痢

抗がん薬による下痢は、治療開始〜数日後、あるいは10〜14日目ごろに現れやすい副作用です。ただし、抗がん薬の種類や組み合わせによっては、数か月してから起こるケースもあります。

下痢は、原因によって大きく2つのタイプに分けられます。

※横にスクロールできます。

原因 メカニズム 現れやすい時期
腸の動きが活発になる
  • 抗がん薬によって胃腸の動きを調整する神経が影響を受け、腸の動きが活発になりすぎる
治療開始~数日後
粘膜が傷つく
  • 抗がん薬によって胃腸の粘膜がダメージを受ける
  • 免疫力が落ちて腸の感染症にかかる
治療開始後10~14日目

腎機能、肝機能、免疫力が低下している方や高齢者は、一般的に下痢になりやすいとされています。便の回数が増えたり、やわらかくなったりして気付くケースが多いため、日ごろから便の状態を確認しておくことが大切です。

一般的には下痢止めの使用で改善するケースがほとんどですが、抗がん薬以外の要因で下痢が起きている可能性もあります。そのため、下痢が続く場合は自己判断はせず、主治医や薬剤師へご相談ください。

便秘

便秘は、抗がん薬の影響で腸の動きが低下するために起こる副作用です。抗がん薬の投与から1週間以内に現れるケースも多く、比較的早い時期から注意が必要です。

また、抗がん薬そのものだけでなく、痛み止めや吐き気止めの影響で便秘が起こるケースも少なくありません。

水分摂取や運動などで改善しない便秘は、薬による対処も可能です。「便が数日出ない」「おなかが張って苦しい」などの場合は、我慢せずに主治医や薬剤師へご相談ください。

手足のしびれ

手足のしびれは、薬の成分が身体に蓄積することで現れやすくなります。最初はすぐに治まるしびれでも、回数を重ねるごとに回復に時間がかかるようになるのが特徴です。
治療開始後数週間~数か月経ってから現れるケースが多く、薬の種類や量によっては開始後1〜3日の早い時期に現れるケースもあります。

手足が冷たく感じる、服のボタンがかけにくい、靴が上手く履けない、つまずきやすいなども、手足のしびれによる症状のひとつです。予防や治療が比較的難しく、症状によっては薬の中止や減量が必要なケースも少なくありません。

しびれの症状をやわらげる薬もあるので、日常生活に支障が出る前に主治医や薬剤師へご相談ください。

脱毛

髪の毛やまつ毛を作る細胞は分裂や成長が盛んなため、細胞障害性抗がん薬によるダメージを受けやすい組織です。使用する抗がん薬により脱毛の起こりやすさは異なりますが、一般的に治療開始後2〜3週間ごろから現れはじめ、1〜2か月で多くの髪が抜けるケースもあります。

脱毛による外見の変化は、大きな不安やストレスを伴うものです。しかし、治療が終われば、髪は再び生えはじめます。
目安として、治療終了後3〜6か月ほどで新しい毛が生え揃うのが一般的です。現在は医療用ウイッグや帽子なども充実しています。上手に活用し、治療中の生活を整えていきましょう。

皮膚障害・手足症候群

抗がん薬が皮膚や爪の細胞にダメージを与えると、皮膚の乾燥やひび割れ、吹き出物、色素沈着などの皮膚障害が起こることがあります。
特に手足の皮膚に現れる副作用のひとつ「手足症候群」は、手足のしびれやピリピリとした痛み、腫れ、水ぶくれ、爪の変形などが生じるのが特徴です。歩く、物をつかむといった日常的な動作に支障をきたす場合は、抗がん薬の量を調整することもあります。

薬の種類や投与方法によって異なりますが、手足症候群は投与開始から16週までに現れることが多く、そこから徐々に悪化することがあります。清潔を保つ、保湿剤を塗る、手袋や締め付けない靴や靴下で手足を守るなどのケアを意識しましょう。

妊娠への影響

がんの部位や抗がん薬の種類によっては、治療が精子や卵子に影響を及ぼし、妊娠が難しくなる場合があります。影響の度合いや期間は治療内容によって異なるため、まずは主治医や看護師、薬剤師など身近な医療スタッフへ確認することが大切です。

将来の妊娠を希望される方には、治療前に精子や卵子を採取・凍結保存する「生殖医療(自由診療)」という選択肢もあります。
これらはライフプランにかかわる重要な問題のため、少しでも希望がある場合は、治療開始前のなるべく早い段階で必ずご相談ください。

抗がん薬の副作用を乗り越える方法

抗がん薬治療では、副作用に悩む方が多いのは事実です。
しかし、現在は副作用を予防したり、対処したりする方法が研究されており、軽減できるものも増えてきました。ここからは、副作用を軽くしたり、上手に付き合う方法をご紹介します。

支持療法

「支持療法」とは、がん治療による副作用や合併症、後遺症などを軽くするための予防、治療、およびケアのことです。
副作用をコントロールして、日常生活の質を保ちながら治療を続けることを目的としています。支持療法の一部を、以下にご紹介します。

副作用 支持療法の例
吐き気・おう吐
  • 吐き気止め(制吐剤)の服用
  • 抗不安薬の服用(不安や緊張に由来する場合)
  • 栄養補給や点滴での補給(食事が摂れない場合)
便秘
  • 水分や食物繊維の摂取
  • 便秘薬の服用
口内炎
  • 炎症を抑える薬の塗布
  • うがいや歯磨きなどの口腔ケア
  • 栄養補給や点滴での補給(食事が摂れない場合)
皮膚や爪の障害
  • 保湿剤やステロイドなどの塗布
  • かゆみ止めの服用や塗布
貧血・血小板減少
  • 鉄剤やビタミン剤の服用
  • 輸血療法
外見の変化(脱毛、皮膚、爪など)
  • ウイッグや帽子の活用
  • メイクの工夫
  • マニキュアの活用

また、医療機関では身体への直接的な影響だけでなく、脱毛などの外見の変化に対する「アピアランスケア」や、治療への不安、経済的な悩みについても広く相談を受け付けています。

副作用の現れ方には個人差があるため、その日の体調や薬の服用状況などを記録しておくと治療に役立つケースもあります。

ただし、ここでご紹介した支持療法は、実際に行われる治療の一部でしかありません。副作用かなと思ったら、ひとりで抱え込まずにぜひ主治医や薬剤師へご相談ください。

セルフケア

副作用の症状に合わせた家庭でのセルフケアも、副作用をやわらげるために不可欠です。無理のない範囲で、日常生活に取り入れてみましょう。

食事の工夫

  • 食前にうがいをして、口の中をうるおす
  • 食べられそうなときに、無理のない量を食べる
  • 香辛料は控え、刺激の少ないものを選ぶ
  • 熱いものは少し冷ます

脱毛への対応

  • 外出時は帽子やウイッグ、メイクやサングラスなどを活用する
  • 洗髪時は熱すぎるお湯を避け、シャンプーを泡立ててから洗う

休息

  • 疲れたら早めに休む

しびれに対するケア

  • 料理でのやけどや、暖房器具での低温やけどに注意する
  • 着脱しやすい衣服を選ぶ
  • 転倒やけがをしないよう、歩きやすい靴を選ぶ

副作用の症状や強さ、ご自宅での生活状況などにより、必要なセルフケアは異なります。気になる点は、主治医や看護師、薬剤師、または病院内の「がん相談支援センター」へお気軽にご相談ください。

抗がん薬の副作用がない人・軽い人

副作用の現れ方には個人差がありますが、症状が比較的穏やかに経過する方の傾向として、症状が強まる前から適切なケアを行っているケースが多くみられます。

また、近年副作用を未然に防ぐ支持療法が飛躍的に進歩しています。その結果、「副作用は我慢するもの」から「事前にコントロールするもの」へと変わりつつあり、生活に支障が出るほどの症状を抑えられるケースも増えています。

副作用の強さと抗がん薬の効果は、必ずしも比例するものではありません。「副作用が軽いから薬が効いていない」と不安に思う必要はなく、適切な対処によって生活への影響を最小限に抑えることが、現在の治療では重要視されています。

抗がん薬の投与中に気になる症状が現れたら、ひとりで抱え込まず、主治医や看護師、薬剤師へ早めに相談することが、症状を上手にコントロールする大切なポイントです。

抗がん薬の副作用に悩む方を減らす「がん領域の専門薬剤師」の取り組み

アイン薬局の専門医療機関連携薬局には、抗がん薬に精通したエキスパート「がん領域の専門薬剤師」が在籍しています。
中東遠総合医療センター店でがん領域の専門薬剤師として働く山本さんに、抗がん薬の副作用に関して話を聞きました。

登場人物プロフィール

あいちゃんのイラスト
あいちゃん

アイン薬局の「あいちゃん通信」の運営を担当する薬剤師。アイン薬局ならではの取り組みをわかりやすくレポートします。

山本さんのイラスト
山本さん

アイン薬局 中東遠総合医療センター店・外来がん治療専門薬剤師、がん専門薬剤師。
「困ったときにいつでも力になる薬剤師」として、患者さまの生活を支えます!

がん領域の専門薬剤師とは

がん領域の専門薬剤師とは、具体的にどのような薬剤師でしょうか?

がん領域の専門薬剤師は、抗がん薬治療や副作用対策・予防法、痛みの緩和など、がんの薬物療法に特化した深い知識を持つ薬剤師です。
近年、抗がん薬治療は外来(通院)が主流となっており、アイン薬局でも「外来がん治療専門薬剤師」や「地域薬学ケア専門薬剤師(がん)」などの資格をもつ専門薬剤師が増えています。どの資格もがん治療の流れや副作用、対処法について深く学び、病院での実地研修や学会発表などを経て取得する難易度の高いものです。

抗がん薬の副作用についてお伝えしたいこと

患者さまが一番不安に感じている副作用について、がん領域の専門薬剤師としてまず伝えたいことは何ですか?

最近は抗がん薬そのものも進歩していますが、それに加えて「副作用を抑える薬」もたくさん出てきている、ということです。
「防げる副作用は防ぎ、出たときも対処できる」という現在の状況を、まずは知っていただきたいと思います。

抗がん薬は回数が増えるとつらさが増すという説について

「抗がん薬の副作用は、回数が増えるとつらさが増す」と思っている患者さまが多くいらっしゃいます。

回数が増えるとつらさが増すかどうかは、副作用の種類によります。
例えば、代表的な副作用である「吐き気」は、投与から1週間ほどで治まるケースがほとんどです。そのため、「続けるうちにひどくなる」というケースはあまりありません。

一方で、事前の対策・予防が難しい「しびれ」などは、投与回数が増えるにつれて蓄積し、つらさが増すこともあります。
もし「つらさが増した」と感じたら、我慢せずに薬剤師へ教えてください。薬の量を調整したり、休止したりする提案を医師へ行うのも私たちの役目です。

しばらく様子を見る副作用・すぐに相談すべき副作用の違いは?

ご自宅で副作用と思われる症状が出た場合、すぐに相談すべき症状について詳しく教えてください。

基本的に、以下のような症状が現れた際は、早めの受診が必要です。

  • 水分や食事が摂れないほどの吐き気
  • 1日7回以上の激しい下痢
  • 38℃以上の高熱
  • 抗がん薬の点滴をした部分の痛みや腫れ
  • そのほか、日常生活に支障が出るほどの症状

上記より軽い症状でも、身体がつらいと感じたり判断に迷ったりする場合は、まず薬局にご相談ください。現在の症状を伺って、受診が必要かご自宅での対処が可能かを検討いたします。
場合によっては、副作用対策・予防に処方されているお手持ちの薬や、セルフケアで改善する可能性もあります。

副作用がないことで逆に不安を感じている方へのメッセージ

副作用がないと、「抗がん薬が効いていないのでは?」と感じる患者さまもいらっしゃいます。実際はどうなのでしょうか。

「副作用がない=効いていない」ということはないため、ご安心ください。むしろ、副作用の対策・予防法が上手く機能して「副作用を抑えながら治療を続けられている良い状態」と、前向きにとらえていただければと思います。

ただし、抗がん薬の種類によっては、治療が進むにつれて現れる症状もあります。今後の見通しを確認することで、少しでも不安をやわらげるお手伝いができれば幸いです。

副作用が怖くて治療をためらっている方へのメッセージ

それでもやはり、「副作用が気になる」と一歩踏み出せない方もいらっしゃいますよね。

もし不安が強いのであれば、「最初の治療から副作用対策の薬をしっかりと使い、副作用を予防して治療を開始する」といった進め方も、医師と相談して検討できます。

薬剤師が医師との間に入ってサポートするのですよね。

私たちは、患者さまが納得して治療を開始し、生活の中で治療を継続できるように全力で支えていきます。不安な点があれば、気兼ねなくご相談ください。

医師や薬剤師への相談のコツ

「気になることがあっても、診察室や薬局だと上手く相談できない」という患者さまもいらっしゃいます。

「生活への影響」を中心に、メモにまとめておくのがおすすめです。日常生活への支障や血圧・食事量といった「副作用に関わる数値」や、具合が悪くなった時の具体的な生活シーンなどを記録しておくと、より適切な対処を受けやすくなります。

例えば「だるい」だけでなく「疲れやすくて買い物に行けなくなった」、吐き気は「食事量が半分ほどに減ってしまった」など、具体的にどう困っているかを教えてください。

また、話していく中で考えがまとまることもあります。病院で伝えきれなかった内容も、薬局でゆっくりお話しいただければ、適切な対処法を一緒に考えます。

がん領域の専門薬剤師への相談は「専門医療機関連携薬局」へ

がん領域の専門薬剤師に相談したい場合、患者さまはどこへ行けば良いでしょうか?

もし通院先が「がん診療連携拠点病院」であれば、その周りに「専門医療機関連携薬局」がないか探してみてください。
専門医療機関連携薬局とは、がんなどの専門的な薬学管理に関係機関と連携して対応できる薬局です。がん領域の専門薬剤師も在籍しています。不在のタイミングもあるため、事前に電話でお問い合わせいただくとスムーズです。

なお、アイン薬局の専門医療機関連携薬局は、こちらから検索できます。お近くの薬局をぜひ探してみてください。

抗がん薬の副作用は医師や薬剤師に相談を

抗がん薬の副作用は多岐にわたり、症状や強さなどには幅があります。

近年、抗がん薬の治療は大きく進歩しています。副作用を軽くする治療やセルフケアの研究が進み、副作用を抑えながら効果の高い治療を受けられるようになりました。
副作用の不安や気になる症状は主治医や看護師、薬剤師に相談しましょう。

アイン薬局の専門医療機関連携薬局では、がん治療に精通した「がん領域の専門薬剤師」が在籍しています。抗がん薬治療や副作用についてのお悩みは、お気軽にご相談ください。

参考文献・資料

記事監修

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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