子どもは、スポーツによるけがや成長痛などで痛みを訴えることがあります。痛みをやわらげるために湿布を貼ってあげたいと考える方も多いでしょう。しかし、子どもに湿布を使っても問題ないのか、どの種類を選ぶべきか迷うことはありませんか。今回は、お子さまが使える湿布の選び方と、効果的かつ安全に使用するためのポイントを解説します。
年齢制限の基準は湿布の配合成分で変わる
湿布は、どれも同じというわけではありません。湿布は配合成分によって特徴が異なり、期待できる効果や安全性、使用できる年齢の目安も変わります。代表的な湿布は、次の2つのタイプに分けられます。
ひとつは、サリチル酸メチルやサリチル酸グリコールという消炎鎮痛薬が配合された湿布です。痛みをやわらげる効果が穏やかで副作用が少ないため、保護者の監督のもとであれば、多くの製品が年齢制限なく使用できます。

もうひとつは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs※)を配合した湿布です。高い鎮痛効果が期待できる一方、副作用のリスクもあり、小児に使用するには安全性が十分に確立していない製品もあります。15歳未満の使用が制限されている場合もあるため、子どもに使用する際は医師や薬剤師に相談しましょう。
※代表的な成分としてロキソプロフェン、ジクロフェナク、ケトプロフェン、フェルビナク、インドメタシンなど
| 年齢制限なく使える湿布 | 15歳以上の使用に限られる湿布 | |
|---|---|---|
| 主な成分 |
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| 使用年齢に関する注意 |
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| 特徴 |
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お子さまに湿布を使用する際は、製品ごとに使用できる年齢が定められているため注意が必要です。判断に迷う場合は、薬局やドラッグストアで薬剤師に相談しましょう。また、大人に処方された湿布の余りを、子どもに使いまわすのは避けましょう。処方薬は「本人の症状」に合わせて選ばれているため、家族間での共有は思わぬ副作用を招く恐れがあります。
【症状別】子どもに使える湿布の選び方
お子さまが痛みを訴えたときは、症状に合わせて湿布を選ぶことが大切です。まず、いつから痛いのか、ぶつけた直後なのか、腫れや熱があるかなど、痛みの様子を確認しましょう。
湿布には「冷感」と「温感」の2種類がありますが、実は患部の温度を直接変える効果はありません。
冷感タイプは、l-メントールなどの成分が皮膚を刺激することで、脳に「冷たい」という感覚を与えます。この清涼感が心地よく感じられるため、けがの直後など、患部が熱を持って腫れているときに適しています。

一方、カプサイシンなどが配合された温感タイプは、皮膚に温かい感覚を与え、血流を促す働きがあります。こちらは、温めると楽になるような長引く筋肉の痛みなどに最適です。
また、湿布には水分を多く含むパップ剤と、薄く伸縮性のあるテープ剤があります。パップ剤は貼り心地がやわらかく、はがすときに肌への負担が比較的少ない一方、汗などではがれやすい性質があります。テープ剤は関節などの動く部位でもはがれにくい反面、粘着力が強く、はがすときに皮膚トラブルが起こることがあります。お子さまに使用する場合は、部位や皮膚の状態に合わせて使い分けると良いでしょう。
【症状別】湿布の選び方
※横にスクロールできます。
| 症状 | 冷感・温感の選び方 | 注意点 | 成分名 |
|---|---|---|---|
| 捻挫や打撲 |
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冷感湿布 下記の消炎鎮痛成分と冷感成分が配合されたもの <消炎鎮痛成分>
<冷感成分>
温感湿布 下記の消炎鎮痛成分と温感成分が配合されたもの <消炎鎮痛成分>
<温感成分>
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| 成長痛 |
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| 慢性の痛み |
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| 強い痛み |
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<15歳以上>
<15歳未満>
<11歳以上>
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子どもに湿布を使用する場合は、まず痛みの原因を明らかにすることが大切です。そのうえで、症状や痛みの程度を確認し、年齢制限を守って湿布を選びましょう。
湿布を貼っても強い痛みや腫れが続いたり、貼った部分に赤みやかぶれが現れたりした場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
子どもに湿布を使う際のリスク
痛みがあるとすぐに湿布を貼ってしまいがちですが、意外なリスクが潜んでいます。
湿布かぶれ(接触皮膚炎)が起きることがある
子どもの肌は大人に比べて薄く、バリア機能もまだ未熟です。そのため、湿布に含まれる成分が刺激となり、湿布かぶれ(接触皮膚炎)を起こしやすい傾向があります。
また、赤みやかゆみ、ヒリヒリする部分を触ってしまい、症状をさらに悪化させてしまうことも少なくありません。同じ場所に長時間貼り続けたり、毎日同じ部位に貼ったりしないよう注意しましょう。
光線過敏症(光アレルギー)の副作用が起きることがある
光線過敏症は、湿布を貼った部分に日光が当たり、かゆみや赤み、発疹、ヒリヒリ感、腫れ、水疱などが現れます。
NSAIDs配合の湿布で起こりやすく、中でもケトプロフェンを含む製品は特に注意が必要です。そのほか、ロキソプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシンなどの成分でも起こる可能性があります。
症状は使用中だけでなく、はがした後に出ることもあり、数週間から数か月後に現れる場合もあります。気付かずに患部を日光にさらすと悪化することがあるため、直射日光に当てないようにしてください。
特に子どもは発症に気付きにくく、一度光線過敏症を発症すると、さまざまなNSAIDs配合の湿布で発症する可能性があります。
自己判断での使用は避け、医師や薬剤師に相談してください。
喘息発作を誘発・悪化させることがある
NSAIDs配合の湿布薬を貼った約1時間以内に、重い喘息発作が起きることがあります。これは、NSAIDs喘息(アスピリン喘息)と呼ばれ、湿布の成分が気管支を急激に狭めてしまうことが原因です。さらに鼻水や鼻づまりの症状も伴い、急速に症状が悪化するのが特徴です。
特に子どもの場合、15歳未満の使用が制限されている製品を誤って使うことが、こうした重篤な発作を招く引き金となります。年齢制限が設けられているのは、小児における安全性の問題に加え、こうした過敏反応のリスクを避けるためでもあります。
NSAIDs喘息は成人の発症が多いとされていますが、小児も例外ではありません。特にアレルギー体質のお子さまや、過去に喘息のような症状を指摘されたことがある場合は、発症リスクが高いため注意が必要です。
湿布を使う際のポイント
湿布薬を効果的かつ安全に使用するには、正しい知識に基づいた適切な使用が不可欠です。
- 貼る場所に注意する
傷口や湿疹、炎症がある部位に貼ると、症状の悪化やかぶれを招く恐れがあります。特に皮膚が敏感な場合は、貼る前に皮膚の状態を確認することが重要です。 - はじめて使うときは短時間で試す
はじめて使用する湿布は、配合成分による過敏症などの皮膚トラブルを避けるため、1〜2時間ほどの短時間で試し、肌の反応を確認します。万が一、皮膚の赤みやかゆみ、ヒリヒリ感などが現れた場合はただちに使用を中断し、医師や薬剤師に相談しましょう。 - 貼る前に肌を清潔にしておく
皮脂や汗によるかぶれを防ぐため、貼る前には石けんとぬるま湯で肌をやさしく洗います。ゴシゴシとこするような摩擦や、刺激の強い汗拭きシート・アルコール綿の使用は控え、肌を十分に乾かしてから貼りましょう。洗えない場合は、濡れタオルで拭くくらいにとどめ、肌を乾かしてから湿布を貼ってください。 - 同じ部位に長時間・連続で貼らない
皮膚への負担を軽減するため、貼る位置をわずかにずらす、あるいは次の貼り替えまで2時間ほど空けるなど、同じ部位への連続使用を避ける工夫が必要です。赤みやかゆみ、ヒリヒリ感などが出た場合は使用を中断し、医師や薬剤師に相談しましょう。
年齢にかかわらず、正しい貼り方を守ることは、副作用を防ぎながら痛みを効率良くやわらげることにつながります。
年齢に適した選び方で、お子さまに適したケアを
お子さまに湿布を使用する場合は、年齢に適した種類を選び、安全に使用しましょう。また、湿布を貼っても痛みや腫れが続くときや、貼った部分にトラブルが生じた場合には、すぐに医師や薬剤師に相談してください。
参考文献・資料
記事監修
石黒 貴子
薬剤師/薬剤師歴27年







