お役立ち情報
インフルエンザと
かぜの違いって?
症状や見分け方のポイント
「熱が出たけれど、これってインフルエンザ?それともかぜ?」と迷ったことはありませんか?
そこで、今回は症状の特徴や治し方を整理し、早めの対処につなげるヒントをご紹介します。
インフルエンザとかぜの違いとは?
インフルエンザとかぜの違い
| インフルエンザ | かぜ | |
|---|---|---|
| 原因 |
インフルエンザウイルス
(A型、B型) |
ライノウイルス、
季節性コロナウイルス※1など
|
| 感染経路 |
飛沫(ひまつ)・接触
|
飛沫・接触
|
| 感染力 |
強い
|
弱い
|
|
発症までの 時間 |
1~3日
|
1~3日
|
|
症状の 進行の速さ |
急速に進行
|
ゆっくりと進行
|
|
治癒にかかる 期間 |
1~2週間
|
数日~1週間
|
| 流行時期 |
1~3月に流行する傾向
(近年、ピークの期間が広がっており、限定的ではない) |
明確な流行時期はなし
|
| ワクチン |
あり
|
なし
|
| 治療薬 |
あり
|
なし
(対症療法で症状をやわらげる) |
-
※1
新型コロナウイルスとは異なります。
まず原因となるウイルスが異なります。インフルエンザは「インフルエンザウイルス」、一方かぜは「ライノウイルス」などさまざまなウイルスが原因です。また、感染力はインフルエンザの方が強く、症状の進行もインフルエンザは急速に進行するのに対し、かぜはゆっくりと進行していきます※2。
-
※2
発症までの期間や進行の速さなどには個人差があります。
症状の違い
インフルエンザとかぜは、症状も似ているイメージですが、実際には少し異なります。それぞれの症状の特徴や違いを確認しましょう。
インフルエンザとかぜの
症状の違い※3
| 症状 | インフルエンザ | かぜ |
|---|---|---|
| 発熱 |
高熱(38℃以上※4)が
数日間続くことが多い |
微熱~37℃台※4の発熱が多い
|
| 頭痛 |
重い
かぜよりも強く出ることが多い
|
軽い
|
| 喉の痛み |
あり
全身症状から遅れて現れやすい
|
あり
喉の違和感から始まる場合も多い
|
| せき |
強い
重症化することもある
|
軽~中等度
軽い症状が多く、痰がからむこともある
|
|
鼻水・ 鼻づまり |
ときどき
少量でサラッとした鼻水がみられることがある
|
よくある
初期はサラッと透明で、
次第に黄色く粘性が出る |
| くしゃみ |
少ない
|
よくある
初期から頻繁に出ることがあり、
3~4日程度続くこともある |
| 悪寒 |
重い
|
軽い
|
|
倦怠感・ 疲労感 |
重い
解熱後も続く
場合がある |
軽い
|
|
関節痛・ 筋肉痛 |
重い
全身に現れる
|
軽い
|
|
そのほかの 症状 |
食欲不振や場合によって吐き気、
腹痛、下痢が生じる |
食欲不振や吐き気は比較的軽い
|
-
※3
症状や度合いには、個人差や例外もありますので、あくまでも参考情報としてご活用ください。
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※4
平熱によって個人差があります。
発熱や頭痛、倦怠感(けんたいかん)などの全身症状が、重く急に現れるのがインフルエンザの特徴です。一方、かぜは喉の痛みや鼻水、くしゃみといった局所的な症状が中心で、発熱はあっても軽い傾向にあります。
使用する薬の違い
インフルエンザで使用する薬
- 内服薬(オセルタミビル、バロキサビル マルボキシル)
- 吸入薬(ザナミビル、ラニナミビル)
- 点滴静脈注射(ペラミビル)
かぜで使用する薬
- 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)
- せき止め薬(デキストロメトルファンなど)
- 鼻炎薬(クロルフェニラミンなど)
- 去痰薬(カルボシステインなど)
このほか、体力回復や免疫維持を助ける補助的な薬として、ビタミン剤があります。
インフルエンザとかぜはどう見分ける?
インフルエンザは急な高熱や強い倦怠感などの全身症状が特徴で、かぜは軽度の発熱や鼻水・喉の痛みなど局所症状が中心です。しかし、発症初期は症状がよく似ており、判断が難しいケースもみられます。
朝から熱っぽさがあり、身体がだるく、「もしかしてインフルエンザかな、それともかぜ?」と不安になる方もいるでしょう。特に、仕事や学校を控えていると、「無理して行くべきか」「病院に行くべきか」と判断に迷いがちです。
そのような場合は、かんたんセルフチェックリストを使ってみてください。当てはまる項目が多い場合は、インフルエンザの可能性があるので病院を受診しましょう。
かんたんセルフチェックリスト※5
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※5
本情報は一般的な情報提供であり、確定診断や治療方針を示すものではありません。必ず医療機関にご相談ください。
自己判断が難しい場合の受診目安は?
また、一度受診しても症状が改善しない、あるいは悪化している場合は再度受診することが大切です。
インフルエンザとかぜの治し方・対処法
インフルエンザの場合
インフルエンザの治療の基本は、抗ウイルス薬の服用と安静です。抗ウイルス薬は服用のタイミングが重要で、発症から48時間以内に服用することで効果が期待できます。
自宅でできる対処法として、高熱が出ている場合は、脇の下、首の両側、足の付け根など太い血管が通る部位を冷やして、体温を下げる工夫が有効です。さらに、十分な睡眠と休養をとり、栄養バランスの良い食事を心がけること、水分補給をこまめに行うことが大切です。
対処法の注意点として、発熱は身体の防御反応であるため無理に解熱させないことが重要です。ただし、高熱によって食事や水分が摂れない場合や、つらい倦怠感・頭痛がある場合には、体力の消耗を防ぐために解熱薬を使用することがあります。なお、強い脱水症状、呼吸困難、意識障害などが現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
かぜの場合
かぜの治療は、発熱、せき、鼻水などの症状をやわらげる対症療法が基本で、市販薬を使用する場合は、症状に合わせて解熱鎮痛薬やせき止め、抗ヒスタミン薬などを選びましょう。
自宅でできる対処法としては、栄養バランスの取れた食事を心がけ、マスクや加湿で喉を冷やさないようにすることがポイントです。入浴は、発熱が軽度で体力が保てる状態であれば問題ありませんが、湯冷めしないように注意する必要があります。
なお、1週間以上症状が続く場合は、別の病気の可能性も考えられます。特に、せきだけが長引く場合は気管支炎、喘息、肺炎などが隠れている場合があるので、早めに医療機関を受診してください。
子どもや高齢者、妊婦、持病がある方は特に注意が必要
子どもの場合は、急なけいれんや異常な行動(インフルエンザ脳症の兆候など)に注意が必要です。また、高齢者は体温が上がらず、全身の倦怠感など一見症状がわかりにくく、発見が遅れないよう注意が求められます。
妊婦の場合、症状が重症化しやすいため、感染が疑われる場合は、かかりつけの産婦人科に相談することが大事です。
さらに、持病※6の薬を服用している方は、抗ウイルス薬や解熱薬との併用により体調が悪化することがあるため、必ず医師や薬剤師に相談して安全に治療を進めましょう。
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※6
糖尿病、心疾患、呼吸器疾患(喘息・COPD)、腎疾患、免疫抑制状態など
脱水や食欲不振への対策を行う
高熱による発汗やおう吐、下痢によって脱水症を起こす可能性もあるため、水分を少量ずつ、こまめに摂取することも大切です。また、食欲が低下している場合でも、消化に優しい食事や経口補水液の摂取を心がけてください。
家庭内感染を防ぐために消毒を徹底する
インフルエンザやかぜは飛沫や接触によって感染が広がります。そのため、家庭内での感染拡大を防ぐために、マスクの着用、こまめな換気、タオルや食器など共有物の消毒を徹底しましょう。
インフルエンザとかぜの違いを知って早めの予防を心がけよう
インフルエンザとかぜは、症状の進行や重症化のリスクなどに違いがあります。インフルエンザは、突然の高熱や全身症状が特徴で、早期に抗ウイルス薬を使用した治療が必要となります。
一方、かぜは比較的軽症で対症療法が中心です。それぞれを正しく見分け、自己判断に迷う場合は早めに病院を受診することが重要です。また、日ごろから手洗いやマスク、十分な睡眠や栄養を心がけ、免疫力を下げないようにする工夫が、感染予防や重症化の回避につながります。
参考文献・資料
記事監修
野原 弘義
精神科医/産業医
2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室
入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。
