脚や顔のむくみはなぜ起こる?スッキリ解消法も紹介!

日常生活の中で、手足や顔のむくみを感じた経験はありませんか。座っている時間が長かったから、水分を摂りすぎてしまったからなど、思い当たる節がいくつかあるかもしれません。むくみは、その原因を知ることで、予防や対策が可能になります。今回は、むくみの原因と簡単にできるマッサージ法、生活習慣の改善による予防法について解説します。

むくみとは?

むくみとは、何らかの原因で、皮膚の下(皮下組織)にある細胞と細胞の間に、余分な水分がたまることで生じる、腫れや膨らみのことです。その結果、顔や手足が腫れぼったく感じられます。夕方に靴がきつくなったり、指輪が外れないなどの経験をした方も多いのではないでしょうか。

そもそも、身体の中では水分が常に一定のバランスで保たれています。成人の場合、身体の約60%は水分ですが、そのうち約40%は各臓器の細胞の中に、約5%は血液として血管内に、残りの約15%は血管と細胞の間にある細胞間質(さいぼうかんしつ)という部分にあります。このバランスが何らかの原因で崩れると、血管内にしみ出る水分量が増えたり、細胞間質内の水分(間質液)が血管やリンパ管で回収しきれなくなったりします。その結果、水分がたまり、むくみとして現れます。

むくみやすい部位は、心臓から最も遠く、重力の影響を受けやすい脚やふくらはぎです。寝たきりの方の場合、背中や顔もむくみやすくなります。そのほか、病気や薬の副作用などが原因の場合には、全身がむくむこともあります。

むくみは自分でチェックすることができます。部位別にポイントをまとめましたので、気になる部位のむくみを確認してみましょう。


  • ・すねや足の甲を、指で5秒間押して手を離したあと、10秒以上へこみが戻らない※1
    ・靴下の痕が残っている
    ・ふくらはぎの太さが朝晩や左右で違いがある

  • ・まぶたが腫れぼったい
    ・額を指で5秒間押して手を離したあと、へこみが戻らない※1
    ・皮膚のしわが見えにくくなっている

  • ・指輪が入らない、または外れない
  • 体重
    ・通常の体重より5~10%増えている

※1 押した部分に痛みや熱感がある場合は、炎症や血栓の可能性もあるため、医療機関を受診しましょう。 

むくみの原因について

むくみは、身体の水分バランスが崩れることで起こります。そのバランスを乱す要因にはいくつかの種類があります。

運動不足や長時間同じ姿勢が続く生活

運動不足や長時間同じ姿勢を続けると、血液やリンパの流れが悪くなり、むくみやすくなります。特にふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」と呼ばれ、血液を心臓に戻すポンプの役割を担っています。しかし、運動不足などでこのポンプ機能が十分に働かないと、血液やリンパの流れが滞るためむくみが生じます。

睡眠不足やストレス

血液やリンパの流れ、体内の水分の出入りには自律神経がかかわっていますが、睡眠不足やストレスにより自律神経のバランスが崩れてむくみやすくなります。ストレスにより常に交感神経が優位となることで血管が収縮し、血液やリンパの流れが悪くなるのです。

また、本来睡眠中は身体を休ませる副交感神経が優位になり、老廃物や水分の排出が促されて身体がリセットされます。しかし、睡眠不足になるとこの機能が低下し、むくみやすくなります。

ホルモンバランスの乱れ

女性は、ホルモンバランスが大きく変化する生理前、妊娠中、更年期に、特にむくみやすくなります。生理前や妊娠中のむくみは、体内に水分や塩分をため込もうとするプロゲステロンの増加が主な原因です。
一方、更年期にはエストロゲンの低下により血流や代謝が乱れやすくなることが、むくみにつながります。

塩分・アルコールの摂りすぎ

塩分を摂りすぎると、身体は体内の濃度を正常に戻そうとして、水分をためこむように働きます。その結果、全身の水分量が増加し、余分な水分がむくみとして現れます。

また、アルコールには利尿作用があるため、飲んだ量以上の水分が尿として排出されます。そのため脱水を防ぐために水分をためこもうとしたり、アルコールが血管を拡張させて血管から水分が漏れやすくなることが、むくみの原因となります。

薬の副作用や病気が原因の場合もある

むくみは、運動不足や食生活などの生活習慣だけでなく、薬の副作用や病気の症状として現れる場合もあります。

薬の副作用が原因の場合

むくみが出る原因として、服用している薬の副作用があります。むくみが出やすい代表的な薬とその原因をご紹介します。

  • 血圧降下薬(カルシウム拮抗薬)
    動脈だけを拡張させて血圧を下げるため、血液を回収する静脈との間に圧力差が生じ、血管から水分が漏れ出す。
  • 解熱鎮痛薬(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬)
    腎臓の血流を低下させたり、水分・塩分を体外へ排出させるホルモンの働きを抑えるため、体内に水分と塩分がたまりやすくなる。
  • 副腎皮質ステロイド
    体内で塩分(ナトリウム)と水分を保持する作用が強まるため、身体全体の水分量が過剰に増加する。
  • 糖尿病治療薬
    腎臓での水分の再吸収を促す作用があり、本来尿として排出されるべき水分が体内に多く戻されてしまう。

薬の副作用でむくみが出ている場合でも、勝手に服用を中止せず、医師や薬剤師に相談しましょう。

病気が原因の場合

病気の症状としてむくみが起きる場合があります。むくみが生じたときに疑われる代表的な病気をご紹介します。

  • リンパ浮腫(ふしゅ)
    リンパ浮腫は、リンパの流れが悪くなって起こる局所的なむくみです。リンパ浮腫のほとんどは、がんの治療に伴うリンパ節の切除や、放射線の照射によってリンパ管やその周辺組織がダメージを受けて起こります。
    むくみ以外の症状として、倦怠感や疲労感、痛みがあり、進行すると関節の動きが制限されて日常生活に支障が出ることもあります。

病名  対象の
リンパ節
 むくみやすい
部位
 乳がん  脇の下  腕
 子宮がん、
前立腺がん
など
 そけい部  脚
 頭頚部
(とうけいぶ)
がん
 鎖骨下  顔や首

  • 心不全
    心不全は、心臓の病気や高血圧などによって心臓に負担がかかり、心臓のポンプ機能が低下する病気です。その結果、血液の流れが滞り全身に水分がたまりがちになります。日中、身体を起こしていると水分が下半身にたまりやすく、両足がむくみやすくなるのが特徴です。むくみのほか、息切れや動悸(どうき)、疲れやすさなどの症状が現れることもあります。
  • 甲状腺機能低下症
    甲状腺機能低下症は、甲状腺の機能が低下して血液中の甲状腺ホルモンが不足し、代謝が低下する病気です。血液やリンパの流れが滞ることで水分がたまりやすくなり、その結果、顔や手足、まぶたがむくむことが多いようです。そのほか、疲労感、皮膚の乾燥、便秘、動作や話し方が遅くなるなどさまざまな症状が現れます。
    また、甲状腺機能低下症のむくみは指で押しても(すぐには)が残らない場合もあります。

むくみを解消するためのマッサージや生活習慣

むくみを解消するためにはマッサージが効果的です。脚や顔、腕や手などむくみを解消するマッサージ方法と生活習慣についてもご紹介します。

脚のむくみの解消

脚のむくみを解消するためには、長時間の同じ姿勢を避けるとともに、こまめにふくらはぎや足首を動かすことが大切です。

脚のむくみ解消法

次の1~4は、椅子に座った状態で行います。

  1. かかとの上げ下げ、つま先の上げ下げを各10~20回ほど行います。
  2. 足首をぐるぐる回します。
  3. 靴を脱ぎ、片方の足の甲を床に向けた状態で20秒キープします。左右それぞれで行いましょう。
  4. 足の指をぎゅっと縮めたり、ぱっと広げたりを左右10回ずつ繰り返します。

顔のむくみの解消

500円玉大ほどのクリームなどを指に取り、こすらないように適度な強さで行うようにしましょう。顔の中心から外側に向けてリンパを流すことが大切です。

顔のむくみ解消法

次の1~4は、両手の中指と薬指を使って行います。

  1. 目頭から眉の方へ上がり、額を左右にくるくるとこめかみまでらせんを描き、こめかみを3回軽くまわします。
  2. 目頭から目の下を通り、こめかみまでリンパを流します。
  3. 目頭から頬骨(ほお骨)の下を通り、耳の下までリンパを流します。
  4. あごの先から耳の後ろまでリンパを流します。
  5. 顔の中心から耳の前を通り、首筋にリンパを流します。

腕や手のむくみの解消

腕や手のマッサージには自分に合ったハンドクリームやオイルを使うと手がすべりやすくなり、肌への摩擦を減らせます。使い心地の良いものを選びましょう。

腕のむくみ解消法

次の1~3は、手のひら全体を密着させて、適度な強さで行います。

  1. 腕の外側を手首からひじに向かって、5回往復してほぐします。
  2. さらに、そのままひじから肩の外側に向かって、5回往復してほぐします。
  3. 肩から脇の下に向かってリンパを流します。

手のむくみ解消法

  1. 親指と人差し指で、反対側の手の指の間の付け根(水かき部分)を、挟んで揉みほぐします。両手を交互に行います。
  2. 指の付け根を反対の親指と人差し指、中指の3本で軽く握り、指先に向かって軽く回しながらすべらせます。両手の指すべてで行います。
  3. 手のひら全体を反対の親指で軽く押します。

水分の補給やカリウムが豊富な食材を摂る

水分の補給やカリウムが豊富な食材を摂るのは、むくみの解消に効果的です。

身体に必要な水分が不足すると、身体は水分をためこもうとするため、むくむ原因になります。1日に飲む水の量は、1.2リットルほどが目安です。一度にまとめて飲むのではなく、こまめに摂ることをおすすめします。

また身体は、体内のナトリウムとカリウムの量を調節して水分量を適切に保っています。カリウムが豊富な食材を摂ると過剰になったナトリウムを排出するため、むくみの解消につながります。

カリウムが豊富な食材例
野菜(生) ブロッコリー、ほうれん草、枝豆、にんじん、芽キャベツ など
野菜(乾) 切り干し大根、ドライトマト など
果物(生) アボカド、バナナ、メロン、キウイ、さくらんぼ など
果物(乾) あんず、マンゴー、バナナ、ぶどう、ブルーベリー など
種実 ピスタチオ、落花生、アーモンド、松の実、ぎんなん、ゆであずき など
そのほか 刻み昆布、乾燥わかめ、きなこ、ひきわり納豆 など

一般的に食品からカリウムを摂る場合には、過剰摂取になることはありませんが、以下に当てはまる方は注意が必要です。

  • 高齢の方や、腎臓病、糖尿病などで腎機能が低下している方
  • カリウム摂取に注意が必要な薬を服用中の方
  • 医師からカリウムの摂取を制限されている方
  • サプリメントでカリウムを摂取する方

むくむ前に!今日からはじめる対策・予防法

むくみの原因や解消法を説明してきましたが、むくまないようにするにはどうすれば良いでしょうか。

適度な運動を取り入れる

原因のひとつに運動不足が挙げられます。日ごろからウォーキングなど適度な運動を取り入れ、血液やリンパの流れを促すことでむくみを予防することができます。

また、日常生活で座っている時間が長い方は30分を目安に立ち上がって歩きましょう。長い時間立っている場合などは、その場でかかとの上下運動や足首回しなどがおすすめです。

寝る姿勢を意識する・睡眠の質を高める

寝るときに、脚を心臓より高くすることで、脚にたまった水分や血液が心臓に戻るのを助けることができます。膝から下が高くなるように、シーツの下にたたんだバスタオルなどを入れると良いでしょう。

なお、心不全や呼吸器疾患のある方は、症状が悪化する場合があるため自己判断で行わず、必ず医師に相談しましょう。

また、睡眠不足もむくみの原因となるため、十分な睡眠時間が得られるよう、生活リズムや寝具を整えましょう。就寝1~2時間前の軽いストレッチや入浴、就寝前のテレビやスマートフォンの使用を避けることも効果的です。

心と身体を休める

ストレスをためないように心がけることも大切です。適度な運動は気分転換になり、汗をかくことで血行が良くなります。心と身体もほぐれ、睡眠の質の向上にもつながります。

そのほか、趣味に没頭する、音楽や映画を鑑賞する、アロマを焚くなど、自分なりのリラックス法やストレス解消法を見つけることをおすすめします。

食生活を見直す

さらに、食生活もむくみに大きな影響を与えます。塩分やアルコールの摂り過ぎ、偏食、寝る直前の食事など思い当たることはありませんか。特に塩分はむくみに大きな影響があるため、1日の食塩摂取量は成人男性7.5g、成人女性6.5gを心がけるようにしましょう。

むくまないようにするには、バランス良く多くの栄養素を摂り、水分をためこまないようにすることが大切です。また、血行を良くし代謝を活発にするには、冷たい食べ物や飲み物を控え、身体を冷やさないようにしましょう。

むくみが改善しない場合は病院で相談を

食生活の改善やむくみ解消法を行っても、むくみが改善しない、あるいは悪化する場合には、病気が隠れている場合もあります。急に片脚だけがむくんだり、むくみ以外に痛みや赤み、熱感、息切れ、倦怠感などを伴う場合は、深部静脈血栓症や心不全の可能性もあります。早めに医療機関を受診しましょう。

薬の副作用によるむくみや、日々の生活で気になるむくみの症状があれば、薬局・薬剤師に相談することもひとつの方法です。

アイン薬局の公式アプリ「いつでもアイン薬局」の「安心お薬サポート」を使えば、薬局まで足を運ぶことなく、チャットやビデオ通話で薬剤師に相談できます
薬や身体に関する不安な点がある場合は、お気軽にご利用ください。

※ ご利用には「アイン薬局とつなぐ」のご登録が必要です。

参考文献・資料

記事監修

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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