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つらい「二日酔い」
今すぐできる
治し方と予防法まとめ
お酒を楽しく飲んだ翌日に、頭痛や吐き気、だるさといった二日酔いの症状に悩まされた経験はありませんか?いますぐこのつらさをどうにかしたい、毎回二日酔いで困っているという方も多いのではないでしょうか。
今回は、そもそも二日酔いとは何か、主な症状や原因、そして症状をやわらげる対処法から二日酔いにならないための予防法を詳しく解説します。
二日酔いとは?
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- おう吐
- 倦怠感(けんたいかん)
- 下痢
- 口の渇き
- 脱水症状
二日酔いで現れる症状は、飲酒量や体調によっても変わるため、状態に合わせた対処が必要です。意識が朦朧(もうろう)としている場合や、水も飲めないほどおう吐する場合は病院に行きましょう。
アセトアルデヒドが身体に残っている
お酒を飲んで体内に入ったアルコールは、肝臓でアセトアルデヒドという物質に分解されます。
アセトアルデヒドは毒性が強く、頭痛や吐き気、動悸(どうき)などの不快な症状を引き起こす物質です。ただし、分解酵素によって無害な酢酸(さくさん)に分解されるため、体質に合った適量の飲酒であれば問題はありません。
アセトアルデヒドを分解する酵素の働きは遺伝子によりある程度決まっており、日本人の約41%は遺伝的にこの酵素の働きが強くありません。酵素の働きが弱いと、アセトアルデヒドの分解が遅くなり、より強く二日酔いの症状が現れるのです。
脱水症状になっている
アルコールには利尿作用があるため、お酒を飲むとトイレが近くなります。トイレへ頻繁に行くことで、身体からは水分だけでなく、塩分などの電解質も排出されやすくなります。
また、アルコールの分解にも水分が必要になるため、飲酒後は脱水症に陥りやすい状態です。体内の水分が不足し続けると、頭痛など二日酔いの症状につながります。
胃腸が荒れている
胃腸の不調もよくみられます。これは、アルコールや炭酸が胃腸の粘膜を刺激したり、胃酸の分泌を促したりするためです。
特に空腹状態では、その負担はさらに大きくなってしまいます。アルコールから分解されたアセトアルデヒドも胃腸に影響を及ぼし、吐き気やおう吐、胃のむかつきといった二日酔い症状が引き起こされるのです。
低血糖になっている
二日酔いの際、低血糖になる場合もあります。お酒の飲みすぎや、食事を摂らずにお酒だけを飲むと、肝臓がアルコールの分解を優先するため、血糖値を保つ働きが一時的に弱まり、血糖値が低下することがあります。
糖分は脳のエネルギー源ですが、低血糖になると、脳のエネルギー不足が生じ、集中力の低下や頭痛、ふらつき、倦怠感などの二日酔いの一因となります。
今すぐできる二日酔いの治し方
二日酔いを解決する特効薬はいまのところ見つかっていませんが、これからご紹介する対処法を組み合わせることで、つらい症状をやわらげ、回復を早めることが期待できます。
こまめに水分補給をする
冷たい飲み物は、頭痛を悪化させる恐れがあるため、温かい飲み物がおすすめです。
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※1
高血圧や糖尿病、腎臓病などの持病をお持ちの方は、経口補水液を飲めない場合があります。あらかじめ医師や薬剤師へご相談ください。
市販薬を活用する
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頭痛
二日酔いの頭痛は、アルコールの代謝による体内の炎症反応が関与していると考えられているため、頭痛薬として市販されている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が有効です。代表的な薬剤にはロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリンなどがあります。
例えば、二日酔いで身体がだるく感じたり、頭がズキズキするのは、この炎症が原因のひとつです。 -
むくみ・下痢・頭痛・めまい
漢方薬の五苓散(ごれいさん)は、二日酔いに効く薬として挙げられます。
利尿・利水作用、尿量増加の効果があるため、特にむくみの改善に期待ができます。
二日酔いに良いとされる食べ物などを摂る
不足しているものを補うことがポイントです。例えば、脱水症状には水分補給、低血糖に伴って起こる症状には糖分摂取がそれぞれ有効です。
例:ジュース、栄養ドリンク、ラムネ菓子 など
二日酔いは吐き気を伴うことがあるため、無理のない範囲で少しずつ摂取しましょう。
とにかく身体を休める
二日酔いのつらい症状を乗り越えるには、十分に身体を休めることが大切です。アルコールの分解には時間がかかるため、睡眠を取ることで代謝が進み、症状が緩和されやすくなります。また、横になることで吐き気やめまいが落ち着く場合もあります。
睡眠不足では、アルコールの分解に重要な肝機能が低下してしまいます。十分な睡眠時間を確保し、肝機能を保つことが大事です。
休息中にも、脱水や低血糖を悪化させないよう、水分や糖分の補給を怠らないようにしましょう。
【タイミング別】
二日酔いを防ぐ予防法
二日酔いを防ぐためには、飲酒前の準備から飲酒中、そして飲酒後まで、それぞれのタイミングで適切な対策を講じることが重要です。
飲酒前の予防法
二日酔いの対策は、お酒を飲む前から行いましょう。
1 空腹状態で飲まない
空腹時にお酒を飲むと、アルコールが急速に吸収されるため、血中アルコール濃度が急上昇し、二日酔いのリスクが高まります。そのため、お酒を飲む前に、食べ物をお腹に入れておきましょう。
また、飲酒前に糖分を摂っておくと、肝機能が高まり、アルコール分解を助けてくれます。具体的には、飲酒前に栄養補助食品のゼリー飲料を摂取するだけでも、効果が期待できます。
2 水分補給をする
お酒を飲む前から適度に水分を摂取することで、脱水症状の予防につながります。
1日に必要な水分量は2.5リットルで、そのうち飲み物から補うべきとされる量は1.2リットルです。
喉が渇いたと感じるのは「脱水」の証です。喉が渇く前に、意識的にコップ1杯の水を飲むようにしましょう。
3 二日酔い対策アイテムを活用する
市販のサプリメントにも、アルコールの分解を助ける成分が含まれているものがあります。それぞれの用法・用量を守って正しく活用しましょう。
例:コーンペプチド、大豆ペプチド、高麗人参、アラニン、グルタミン
飲酒中の予防法
お酒を飲んでいるときにも、飲み方を工夫することで二日酔いを予防することができます。ポイントは「飲み過ぎを防ぐ意識」です。
1 飲むペースを抑える
一気飲みのような短時間での多量飲酒は、血中のアルコール濃度を急激に上昇させて、「急性アルコール中毒」といった危険な状態を引き起こす可能性があります。
その日の体調や体質にもよりますが、お酒を飲んでから酔いがまわりはじめるまで30分ほどかかります。酔いがまわるまでの時間を考え、飲むペースを抑えるのが重要です。
2 水やお茶を飲む
お酒の合間に水やお茶を飲むのは、二日酔い予防に効果的です。飲酒量を抑えるとともに、胃の中のアルコール濃度を下げる意味でも有効で、さらには脱水を防ぐこともできます。
目安としてお酒と同量程度の水やお茶を飲むと良いでしょう。特にお茶には利尿作用があるため、飲む量には注意が必要です。
3 ストレートやショットで飲まない
4 他人のペースに合わせない
アルコールを分解する能力や二日酔いの症状は、個人の体質や体調に大きく左右されます。自分のアルコール耐性を理解して、節度ある飲酒量を心がけましょう。
飲酒後の予防法
ついつい飲み過ぎてしまっても、飲酒後のケアやちょっとした工夫で、翌日の二日酔いを軽減できることがあります。
1 寝る前にコップ1~2杯の水を飲む
就寝前にもコップ1〜2杯の水を飲むことで、睡眠中の脱水を防ぎ、翌日の二日酔いを軽減できる可能性があります。
アルコールの利尿作用で、体内の水分が尿として排出されやすくなるため、意識的に水を飲みましょう。また、夜間に目が覚めてしまったときにも水を飲むことをおすすめします。
2 胃に優しい軽めの食事を摂る
3 できるだけ入浴はしない
飲酒後の入浴やサウナはできるだけ避けましょう。発汗によって体内の水分が失われ、血中アルコール濃度を高める恐れがあります。
また、飲酒によって一時的に血圧が下がりやすくなるため、入浴をすることで、急激な血圧の変化を起こす場合もあります。
4 十分な睡眠をとる
身体の疲労感を解消することは、翌日の二日酔いの症状緩和に役立ちます。
お酒を飲むと睡眠の質が下がってしまうことが知られていますが、しっかり寝て体力回復に努めましょう。睡眠は、アルコール分解を担う肝機能を保つうえでも重要です。
二日酔いは何時間くらいで治る?
目安として、純アルコール量※2が20g(ビール500ミリリットル、日本酒約1合)の場合、分解にかかる時間は5時間程度※3とされています。
二日酔いの症状は、時間の経過とともに自然と治るものですが、完全に回復するまでの時間は個人差が大きく、飲酒量やアルコール分解能力などによって異なります。場合によっては、24時間以上続くこともあります。
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※2
純アルコール量とは、ビールや日本酒、ウイスキー、ワインなど、飲んだお酒に実際に含まれているアルコールの量を指します。
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※3
体質や体調によって個人差があります。
二日酔いのときの水分補給はどんなものでも良い?
二日酔いになってしまった場合、水分補給が大切ですが、飲み物は何でも良いというわけではありません。カフェインを多く含む飲み物は利尿作用があり、結果的に体内の水分を減らしてしまう恐れがあります。
そのため、水やノンカフェインのお茶、さらに身体から失われた水分や電解質、糖分を補うことができる経口補水液※1もおすすめです。
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※1
高血圧や糖尿病、腎臓病などの持病をお持ちの方は、経口補水液を飲めない場合があります。
あらかじめ医師や薬剤師へご相談ください。
迎え酒は二日酔いに効果がある?
二日酔いのつらい症状をやわらげるために、お酒を飲むことを迎え酒と言います。迎え酒をすると、一時的に症状がやわらいだように感じることがありますが、これはアルコールにより中枢神経が麻痺することによる感覚的なものであり、根本的な解決にはなりません。新たに飲んだお酒のアルコールも分解する必要があるため、まだ体内に残っているアルコールの分解がさらに遅れてしまいます。
迎え酒は二日酔いが長引くほか、アルコール依存症のリスクを高める可能性もあるため注意が必要です。
二日酔いにならないためにはお酒はほどほどに
二日酔いの最も効果的な予防は、飲む量やペースを適度な範囲に留めることです。飲み過ぎは二日酔いに限らず、健康を損なう恐れがあります。二日酔いの特徴と自分の体質や体調を知り、楽しく賢くお酒と付き合っていきましょう。
参考文献・資料
記事監修
野原 弘義
精神科医/産業医
2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室
入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。
