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便秘解消の方法を詳しく解説

便秘は多くの人が悩む身近な症状です。食生活の乱れや運動不足、ストレスなど、その原因や対処法は人によってさまざまです。

便秘になる原因や改善に向けた食事や運動、生活習慣の工夫、さらに年代別に取り入れたい便秘解消法までわかりやすく解説します。

便秘はなぜ起こる?

便秘とは、便を十分に、かつ快適に出し切れない状態のことをいいます。一般的には、3日以上排便がない状態、あるいは毎日排便があっても残便感がある状態が便秘の目安とされています。

便秘には大きく分けて「排便回数減少型」と「排便困難型」の2つのタイプがあります。

排便回数減少型の原因

便が腸内に留まる時間が長くなり、便の回数が少なくなるタイプで、腸の動きが悪くなることが原因とされています。

  • 食物繊維不足
    野菜や果物に含まれている食物繊維が不足すると便のかさ(量)が減り、腸が刺激されにくくなる。
  • 食事量の少なさ
    摂取する食事の量が少ないと、便の内容物が減ってしまい、腸を刺激する量も不足するため、排便回数が少なくなることがある。
  • 運動不足
    腸への刺激が減るため便を押し出す動きが悪くなり、便をスムーズに出せなくなる。
  • 加齢
    腸の機能が落ち、動きが悪くなる。
  • 自律神経の乱れ
    ストレスや不規則な生活などで自律神経が乱れ、腸の動きに影響を与える。

原因はひとつだけでなく、加齢や運動不足、食事や生活リズムの乱れが重なって起こることもあります。

排便困難型の原因

腸の最終部分である直腸まで便が到達しているものの、スムーズに排出できないタイプです。また、排便困難型は排便回数が極端に少なくなることはありません。

  • 水分不足
    野菜や果物に含まれている食物繊維が不足すると便のかさ(量)が減り、腸が刺激されにくくなる。
  • 骨盤の筋肉が正しく機能していない
    便を出すときに使う筋肉が機能していないと、いきむ力が弱くなってしまう。
  • ストレスや緊張
    自律神経のバランスが崩れることで腸の動きが悪くなる。

女性ホルモンの影響で腸の動きが弱まり、便秘になりやすくなるため、排便困難型は女性に多いともいわれています。

厚生労働省の「令和4年国民生活基礎調査」によると、男性は2.8%、女性では4.4%の方が、便秘を感じているとの調査結果が出ています。このデータからも、女性の方が便秘になりやすいことがわかります。

また、この2種類のほかにも薬※1の副作用による「薬剤性便秘」など、便秘にもいくつか種類があります。

  • ※1

    オピオイド、抗コリン薬、三環系抗うつ薬、カルシウム拮抗薬(特にベラパミル)、鉄剤など

今日からできる便秘解消の方法とは?

便秘の原因には食生活、生活習慣、運動不足などさまざまな原因があります。日々の生活を少し工夫するだけで、便秘は改善できる可能性があります。

食べ物・飲み物

便秘解消には、毎日の食事が大きな役割を果たします。便秘に良い食品を摂取し便秘解消を目指しましょう。

1 食物繊維を意識的に摂る

食物繊維は大きく分けて2種類あります。水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」です。

水溶性食物繊維は便をやわらかくする働きがあり、不溶性食物繊維には便のかさを増やす働きがあります。

  • 水溶性食物繊維を含む食品の例:海藻類(わかめ、こんぶなど)、果物(いちご、キウイフルーツなど)、野菜(じゃがいも、ごぼう、さといもなど)
  • 不溶性食物繊維を含む食品の例:きのこ類(しいたけ、しめじなど)、野菜(キャベツ、にんじん、かぼちゃなど)穀類(玄米、麦芽米、麦ごはんなど)

年齢によって食物繊維の目標摂取量は異なります。
例えば、18〜29歳の1日の目標摂取量は男性20g以上、女性18g以上、30~64歳では、男性22g以上、女性18g以上とされています。実際には多くの人が目標摂取量に届いていないため、便秘を解消するためには意識して摂取する必要があります。

また、食物繊維を摂るときは水溶性と不溶性のどちらか一方に偏らず、バランス良く食べることがポイントです。

2 発酵食品で腸内環境を整える

腸の中には腸の環境を良くする「善玉菌」と、不調を起こす「悪玉菌」、そのどちらにもなりうる「日和見菌」がいますが、便秘を解消するには善玉菌を増やすことが大切です。

発酵食品には、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が多く含まれています。この善玉菌が腸の環境を整え、便通をスムーズにしてくれます。

  • 代表的な発酵食品の例:ヨーグルト、納豆、キムチ、漬物、みそ

善玉菌は腸に定着しにくいため、数日摂取しないだけでも減ってしまいます。そのため、ヨーグルトを毎朝1カップ、納豆を1日1パックなど、少しずつ日々の食事に摂り入れてみましょう。

3 オリゴ糖で善玉菌をサポートする

腸内で善玉菌を増やすには、善玉菌そのものを摂り入れるだけでなく、善玉菌のエサとなる成分を摂ることも大切です。その代表がオリゴ糖です。オリゴ糖は、善玉菌の増殖をサポートしてくれます。

  • オリゴ糖を含む食品の例:大豆製品(きなこ、豆乳など)、バナナ、はちみつ、ごぼう

善玉菌とオリゴ糖を同時に摂るのがおすすめで、例えば、ヨーグルトにはちみつをかけるとより整腸作用が高まります。

4 水分補給をしっかり行う

食事だけでなく、水分補給にも気をつけましょう。水分をしっかり摂ることで便がやわらかくなり、スムーズな排便が期待できます。また、健康のためには、1日に1.2リットルの水分を飲み物から補給する必要があるとされています。

例えば、起床時に水を一杯飲むと腸が刺激され動き出しやすくなり、便秘の解消に効果的です。おなかが冷えやすい人は、常温の水を飲むと良いでしょう。

水分補給をする際は、選ぶ飲み物も大切です。甘いジュースは糖分を摂りすぎてしまう可能性があり、コーヒーや紅茶はカフェインによる利尿作用で、かえって脱水につながる場合があります。

生活習慣

便秘は食品だけでなく、毎日の生活リズムとも深く関係しています。規則正しい生活は自律神経を安定させ、腸の動きを促すためにも重要です。

1 規則正しい食事と排便リズムを整える

1日3回規則正しく食事を摂ると身体のリズムが整い、腸のリズムも安定します。また、食事を摂ると胃腸の動きが活発になり、便意を感じやすくなります。これは「胃結腸反射(いけっちょうはんしゃ)」とよばれる自然な反応です。

朝食をしっかり摂り、便意を感じたときは我慢をせずトイレに行くようにしましょう。続けることで朝食後にトイレに行く習慣ができ、自然な排便リズムが身につきます。

2 排便時の姿勢を意識する

排便時の姿勢を意識すると便がスムーズに出やすくなります。前かがみになる姿勢が理想的です。この姿勢をとると、腸の末端である直腸とそれに続く肛門が一直線になり、いきんだ力が便に伝わりやすくなります。

洋式トイレの場合は少し前かがみに座り、踏み台に足を乗せて膝を高くしてみるとよいでしょう。踏み台がない場合でも、かかとを少し上げるだけで角度が変わり、同じような効果が期待できます。

3 睡眠の質を整える

便秘の改善には、質の良い睡眠が欠かせません。腸の動きは交感神経と副交感神経という自律神経によってコントロールされており、副交感神経は腸の動きを活発にさせる働きがあります。しかし、睡眠不足が続いたり眠りが浅かったりすると副交感神経の働きが弱まり、腸の動きも悪くなってしまいます。

眠りの質を高めるためには、毎日同じ時間に寝起きして朝日を浴びる、寝る前のスマートフォンやカフェインを控える、眠る前にストレッチや深呼吸をするといったことが効果的です。

4 ストレス解消を心がける

ストレスを感じると交感神経が活発になり、腸の動きが鈍ります。ストレスを完全になくすことは難しいですが、軽い運動や趣味の時間を設けてリラックスすることを心がけましょう。深呼吸や軽いストレッチは副交感神経を活発にし、同時に腸を刺激してくれるため便秘解消におすすめです。

運動・マッサージ

腸の働きは、日常生活の身体の動きとも深くつながっています。運動やマッサージは便秘解消に効果的です。

1 軽い運動で腸の動きを活性化する

身体を動かすと腸が刺激され動きが活発になり、便が出やすくなります。激しい運動でなくても十分な効果が期待できるので、まずは軽い運動からはじめてみましょう。

ウォーキングの場合、1日20~30分ほどを目安に、無理のない範囲で続けると効果的です。軽く汗ばむくらいの速さを意識しましょう。

ヨガやストレッチは、腰をひねるポーズが腸への刺激になり、腸の動きを活発にします。腹筋や体幹トレーニングは、便を押し出す筋力を鍛えることができ、いきむ力をつけることができます。日常生活の中で身体を動かす機会を増やし、腸の働きを助けましょう。

2 腸を意識したマッサージを行う

おなかを優しくマッサージするだけでも、腸への刺激となるため便秘解消に効果的です。

「の」の字マッサージで腸を刺激してみましょう。

  • 仰向けになり膝を立て、両手を重ねておなかに置く
  • おなかにひらがなの「の」の字を描くようにゆっくり手を動かす
  • この動きを数回繰り返す

おへその下→おなかの右下→あばら骨の下を通っておなかの左下に向かうルートをイメージします。息を吐きながら、1~2cmほど沈むくらいの力加減で行いましょう。

寝る前にマッサージすると副交感神経が活発になり、リラックス効果とあわせて翌朝の排便にもつながりやすくなります。

年代・性別ごとの便秘解消・予防法

便秘の原因や対処法は、年代や性別によっても異なります。ここでは、年代別に取り入れたい便秘解消・予防の工夫をご紹介します。

成人女性・成人男性の場合

大人になると、仕事や家庭の忙しさから生活リズムが乱れ、運動不足や食生活の乱れが重なり便秘になりやすくなります。

1 成人女性

女性は男性より便秘になりやすいとされています。女性ホルモンの影響で腸の動きが悪くなることに加え、いきむための筋力が男性より弱く、便を押し出す力が足りないことが挙げられます。

また、ダイエットで食事の量を減らしてしまうと便のかさが減り、腸への刺激も弱まるため便秘を起こしやすくなります。

成人女性の
便秘解消・予防のポイント

ヨーグルトや発酵食品を毎日少しずつ食べ、腸内環境を整える
ダイエット中でも野菜やきのこ類、海藻類をしっかり摂る
軽い体操やストレッチで腸に刺激を与える

なお、女性は冷えやストレスでも腸の働きが悪くなりやすいため、身体を温めることも効果的です。

2 成人男性

男性の便秘は、食生活の偏りや運動不足、ストレスが関係する場合が多いとされています。肉や揚げ物中心の偏った食生活や、ストレスによる自律神経の乱れなどが腸の動きを悪くし、便秘につながります。

成人男性の
便秘解消・予防のポイント

野菜、きのこ類、海藻類を意識して食べる
通勤や昼休みにウォーキングを取り入れる
規則正しい生活リズムを意識する

また、仕事が忙しいと便意を感じても「仕事中だから」と我慢してしまうことがあるかもしれません。便意を感じたら我慢せずトイレに行きましょう。

高齢者の場合

歳を重ねると、便秘に悩む人が増えます。腸の動きが悪くなり、さらには便意を感じる機能も衰えてしまうためです。また筋力が衰えることで、いきむ力も弱くなってしまいます。
食事量や運動量が減るなど生活面での変化も便秘の原因です。

高齢者の便秘解消・予防のポイント

ウォーキングなどで活動量を増やす
食事をしっかり摂る
便意がなくても決まった時間にトイレに行く習慣をつける

加齢による変化は避けられませんが、生活習慣を見直して便秘対策・予防に取り組んでみましょう。

子どもの場合

子どもの便秘は、食生活や行動の影響が大きいとされており、水分や食物繊維が不足すると便が硬くなってしまいます。また、硬い便による痛みが怖い、幼稚園や学校でトイレに行きたくないといった理由で排便を我慢してしまい、悪化することもあります。

そのため、こまめな水分補給や、食物繊維が多い果物や野菜を増やすことが大切です。また、毎食後トイレに行く習慣をつけましょう。トイレに行けたらほめて、トイレを楽しい体験にすることで自然な排便習慣につながります。

便秘を放っておくリスクも知っておこう

たかが便秘と考えてしまいがちですが、放っておくと身体にさまざまな悪影響をもたらします。便がたまり続けると、腸内環境が乱れ、おなかの張りや肌荒れ、体調不良など全身の不調につながります。さらに、便秘が長引くと大腸がんなどの病気のリスクが高まることもわかっています。

だからこそ、便秘は自然に治るから大丈夫と思わず、生活の中で便秘解消に向けた工夫をはじめることが大切です。

セルフケアで便秘が解消しない時には

食生活や生活習慣を工夫しても、便秘がなかなか解消されない場合は、便秘薬の使用を検討しましょう。

便秘薬には、硬い便をやわらかくするもの、腸の動きが悪い場合に腸の動きを刺激するものなど、いくつか種類があります。自己判断で便秘薬を使用すると腹痛などの副作用が起こりやすくなるため、迷うときは薬局などで薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

また症状によっては、医療機関を受診し医師に相談することも大切です。便秘の原因を調べてもらい、必要に応じて適切な薬が処方されます。

もちろん、薬に頼りきりになるのではなく、生活習慣の改善も続けることが大切です。食事、水分、運動、睡眠を整えることで、便秘の改善だけでなく再発予防にもつながります。

便秘解消は食生活や生活習慣を意識することが大切

便秘は誰にでも起こりうる身近な悩みです。放っておくとおなかが張って苦しくなり、放置するとより悪化してしまいます。さらに、おなかの不快感だけでなく、腸内細菌の乱れから体調や肌にも影響を及ぼすことがあります。そのため、毎日の食生活や生活習慣を少しずつ工夫することが大切です。

食物繊維やオリゴ糖を含む食べ物を積極的に摂り入れ、水分をしっかり摂ることで便秘を解消しましょう。また、睡眠やストレスケア、軽い運動なども大切です。もしセルフケアだけで改善しない場合は、症状の程度に応じて医師や薬剤師に相談することも選択肢のひとつです。

また、便秘薬の使用について気になることがあれば、かかりつけの薬局で相談しましょう。

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記事監修

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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