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かぜの予防は生活習慣から!
外出時や家でもできる
対策を解説

くしゃみや喉の痛みからはじまり、「あれ、かぜかな?」と感じたことは多いと思います。寒い時季や疲れがたまっているときは、特にかぜを引きやすくなります。

かぜは軽くみられがちですが、放っておくと症状が長引いたり、周囲にうつしてしまう可能性があります。

今回は、かぜを防ぐために知っておきたい原因、予防法、そして毎日の生活習慣のポイントをわかりやすく解説します。

かぜを引く原因

かぜの原因の80〜90%はウイルス感染によるものです。代表的なウイルスには、ライノウイルスやコロナウイルスなどがあり、これらが鼻や喉の粘膜に感染して症状を起こします。そのほか、マイコプラズマなどの細菌による感染もかぜの原因となることがあります。

感染経路には、ウイルスが付着した手すりやドアノブなどに触れた手で口や鼻に触れて感染する「接触感染」と、くしゃみやせきのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことで感染する「飛沫(ひまつ)感染」があります。

気温が低く乾燥した環境を好むため、特に冬に広がりやすくなります。また、体調がすぐれないときも感染しやすくなるため、注意が必要です。

  • 新型コロナウイルスは、かぜの原因ウイルスとは異なります。常に最新の情報を確認し、新型コロナウイルスの感染が疑われる場合は、医療機関を受診しましょう。

外出時のかぜの予防法

外出時は、さまざまな人や物と接触する機会が増えるため、ウイルスに感染するリスクが高まります。特に、冬場や乾燥する時季は、ウイルスが空気中を漂いやすく、感染が広がりやすい環境です。

ですが、日常生活において基本的な対策を行うことで予防は十分に可能です。日ごろから意識して行動することが、自分自身だけでなく周囲の人の健康を守ることにもつながります。

マスクを着用する

マスクは、かぜウイルスの飛沫を飛ばしたり、吸い込んだりすることを防ぐ効果的な予防法です。くしゃみやせきによって飛び散る飛沫にはウイルスが含まれており、これを吸い込むことで感染が起こります。そのため、マスクを着用することは、自分を守るだけでなく、万が一自分が感染していた場合に他人への感染を防ぐ効果があります。

特に、人が多く集まる公共交通機関(電車やバスなど)、ショッピングモールなどではマスクの着用が有効です。着用するマスクの種類も意識してみましょう。

不織布(ふしょくふ)マスクは布マスクよりもより効果が高いとされています。正しく着用すること、使いまわしはせずに使用したらすぐ取り替えることが大切です。マスクを選ぶときは、顔の形にフィットするものを選びましょう。形状やサイズが合っていないと、すき間からウイルスが入りやすくなります。

また、長時間つけても耳が痛くなりにくいデザインや、呼吸がしやすい素材、抗菌・消臭といった機能付きのものもあり、自分に合ったマスク選びが快適な着用につながります。

なるべく人混みを避ける

かぜのウイルスは人から人へと感染します。そのため、人が多く集まる場所では感染リスクが高まります。特に、換気の悪い屋内や密集した会場では注意が必要です。

可能であれば、混雑する時間帯を避けて外出する、ネットショッピングを活用するなどの工夫をしましょう。

また、やむを得ず人混みに入る場合は、可能な限り滞在時間を短くする、周囲の人との距離を保つなどの対策を意識してください。ちょっとした工夫や心がけがかぜの予防につながります。

手洗い・うがいをする

外出先では、ドアノブ、手すり、エレベーターのボタンなど多くの人が触れる場所にウイルスが付着していることがあります。そのため、帰宅後にはすぐに手洗い・うがいをすることが大切です。

手洗いは石けんを使って30秒ほど、指の間や爪の間まで丁寧に洗いましょう。うがいは、喉の粘膜を潤し、付着したウイルスや汚れを洗い流すことができます。ただし、かぜの予防効果についての科学的根拠は限定的であるため、主に口腔・咽頭を清潔に保つ習慣として効果的です。外出のたびに行うことで、かぜの感染予防に大きな効果を発揮するでしょう。

家の中でできるかぜの予防法

家の中なら安全、と思う方も多いと思います。しかし、かぜウイルスは手や物を介して家の中にも入り込むので、必ずしも安心はできません。例えば、家族が外から持ち帰ったウイルスが、家の中で広がることもあります。

そのため、家庭内でも基本的な予防や対策を心がけることが大切です。手洗いや消毒、換気、湿度の調整など、日々の習慣を見直すことで、かぜの感染リスクを減らすことができます。

よく触れる場所を消毒する

かぜウイルスは手を介して感染することが多いため、ドアノブや電気のスイッチなどよく触れる場所の定期的な消毒が重要です。

消毒には主にアルコール消毒(消毒用エタノール)と次亜塩素酸ナトリウムの2つが効果的とされています。

  • アルコール消毒(消毒用エタノール)
    手軽で多くの細菌やウイルスに効果があり、すぐに乾燥するため使いやすい。
  • 次亜塩素酸ナトリウム
    より強力な殺菌効果があり、アルコール消毒(消毒用エタノール)が効きにくいノロウイルス(使用後は水拭きが必要)などにも有効。直接手にかけて消毒するものではないため注意が必要。
    また、市販されているものは濃度が濃いため、薄めてからゴム手袋などを着用し、直接手で触れないように使用する。

ウイルスの種類に応じて適切な消毒剤を使い分けることで、より効果的なかぜ予防ができます。

換気をこまめに行う

屋内の空気がこもっていると、ウイルスが長くとどまりやすくなります。1日に数回は短時間でも窓を開けて新鮮な空気を入れることが大切です。

また、2方向の窓を開けることによる「対角換気」が効果的です。空気の流れを作ることでウイルスの濃度を下げることができます。あわせて換気扇やサーキュレーターを併用するのも有効です。

こまめな換気を心がけることで、屋内の空気環境を清潔に保ち、飛沫感染のリスクを軽減することができます。

適度な湿度を心がける

空気が乾燥すると、喉や鼻の粘膜が乾燥して、ウイルスに対する防御力が低下します。さらに、乾燥状態になるとかぜウイルスが空気中を漂いやすくなり、感染リスクがさらに高まります。

屋内の湿度は50〜60%が理想とされており、この範囲を保つことが重要です。加湿器を使用したり、洗濯物を部屋干しすることで湿度を上げられます。特に就寝時や暖房を使用する際は乾燥しやすくなるため、より注意が必要です。

かぜを予防するための生活習慣

かぜを予防するには、日々の生活を見直し、規則正しい習慣を続けることで、身体の免疫力を高めることが大切です。こうした生活習慣の改善は、かぜだけでなく、さまざまな病気の予防や健康維持にもつながります。

毎日の小さな積み重ねが、健康な身体づくりの第一歩です。

食事バランスを意識する

身体の免疫力をしっかりと高めることが、かぜの予防の基本です。そのためには、偏食を避けて、毎日の食事バランスを意識することが大切です。

特に、ビタミンCやビタミンA、亜鉛、タンパク質などの栄養素は、身体の抵抗力を保つうえで欠かせません。

例えば、ビタミンCには白血球の働きを高め、ウイルスへの抵抗力を強める作用があります。柑橘類、イチゴ、ピーマン、さつまいもなどに多く含まれています。

ビタミンAは喉や鼻の粘膜を強化し、粘膜を正常に維持するなどウイルスに対する防御力を高めます。にんじん、かぼちゃ、レバーなどを積極的に摂取すると良いでしょう。

亜鉛は免疫細胞の働きをサポートし、粘膜を正常に維持するなどウイルスへの抵抗力を高める働きがあります。牡蠣(かき)、肉類、ナッツなどに多く含まれています。

タンパク質は身体の免疫細胞や抗体を作るもととなり、かぜで傷ついた喉や鼻の粘膜を修復してウイルスへの抵抗力を高めます。鶏肉、サーモン、豆腐、卵、ヨーグルトなどに多く含まれています。

ビタミンCの作用と多く含む食材(例)、柑橘類、イチゴ、ピーマン、さつまいも ビタミンAの作用と多く含む食材(例)、にんじん、かぼちゃ、レバー
亜鉛の作用と多く含む食材(例)、牡蠣、肉類、ナッツ類 タンパク質の作用と多く含む食材(例)、鶏肉、サーモン、豆腐、卵、ヨーグルト

このような栄養素を中心にバランス良く、色とりどりの食材を取り入れることを意識しましょう。

適度な運動を心がける

免疫力を高めるためには、適度な運動も心がけましょう。日常生活の中でこまめに身体を動かすことで、血流が良くなり、体温も安定し、免疫細胞が全身を巡りやすい状態が整います。

特に、ウォーキングや軽いジョギングといった有酸素運動がおすすめです。さらに、ストレッチやヨガで身体をほぐすことも免疫力の維持に役立ちます。

1日30分ほどの運動を週に3〜5回取り入れることが理想とされ、通勤を利用して、一駅分歩く、階段を使うといった方法でも効果があります。大切なのは「継続すること」です。

短い期間でハードな運動を集中的に行うよりも、軽い運動を習慣として継続する方が、免疫にとっては良い影響を与えるとされています。ただし、体調がすぐれないときや疲労がたまっているときに無理をして運動を行うと、かえって身体に負担をかけてしまいます。

体調に合わせて休むことも大切な「運動の一部」と考え、無理のない範囲で継続するよう心がけましょう。毎日のちょっとした運動習慣が、かぜに負けない強い身体づくりにつながります。

睡眠の質を高める

見落とされがちですが、睡眠の質を高めることも有効です。私たちの身体は眠っている間に疲労を回復し、免疫細胞が活発に働く時間を確保しています。

睡眠不足が続いたり睡眠の質が悪いと、免疫力が下がり、かぜを引きやすくなります。つまり、ただ長く寝るだけではなく、ぐっすりと深く眠ることが重要です。

良質な睡眠のためには、なるべく毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるなど、生活リズムを安定させることが大切です。休日も寝だめはせず、できるだけ平日と同じ時間帯で過ごすよう意識しましょう。

また、寝る直前までスマートフォンやパソコンを見ていると、ブルーライトの影響で脳が覚醒し、寝つきが悪くなります。就寝の1時間前には画面から離れ、リラックスする時間をつくることが大切です。

さらに、睡眠中の環境にも注意しましょう。布団の中の温度は33℃前後、湿度は50%前後が快適とされています。室温は季節によって異なり、夏は26〜28℃、冬は16〜19℃程度が良いとされています。

毎日の睡眠をおろそかにせず、身体をしっかり休ませることは、かぜに負けない身体づくりの基本です。忙しい日々の中でも、睡眠の質を見直してみましょう。

タバコを控える

「タバコを控えること」もかぜを予防するうえで大切です。タバコに含まれる有害物質は、喉や気管支の粘膜を直接傷つけるだけでなく、免疫機能を低下させることが知られています。

特に、タバコの煙によって気道の線毛と呼ばれる微細な毛の働きが弱まり、ウイルスや細菌を体外に排出する力が落ちてしまいます。その結果、かぜウイルスが体内に入りやすくなり、感染のリスクが高まります。

また、タバコはかぜを引いてしまったあとの回復を遅らせ、せきや喉の痛みなどの症状を長引かせる原因にもなります。禁煙は簡単ではありませんが、かぜなどの感染症を防ぐためにも、まずは本数を減らすことからはじめましょう。

医療機関での禁煙外来を受診し、薬の助けを借りて無理なく進める方法もあります。自分自身の健康だけでなく、周囲の大切な人たちの健康を守るためにも、タバコを控えることは大切です。

かぜを引いたかも?と思ったときのセルフケア

「もしかしてかぜ?」と感じたら、まずは無理をせずしっかり休むことが大切です。水分をこまめに摂り、消化の良い温かい食事で身体をしっかり温めましょう。睡眠時間を十分に確保することも大事です。環境面では、部屋の加湿も心がけましょう。

これらのセルフケアに加えて、かぜの症状に合わせた市販薬の服用も有効な場合があります。発症した際には、熱、鼻水、せきなど自分の症状に合ったかぜ薬を選び、用法・用量を守って服用することが重要です。

ただし、症状が長引いたり悪化したりする場合は、早めに医療機関を受診してください。初期の対応が回復を早め、重症化を防ぐ鍵となります。

かぜに負けない生活を送ろう

かぜに負けないためには、日々の積み重ねが何より大切です。特別なことをする必要はなく、基本的な生活習慣を整えることが予防につながります。バランスのとれた食事や適度な運動、質の良い睡眠、そしてタバコを控えることは、免疫力を高めるための基本です。

また、毎日の生活を丁寧に過ごすことが、健康を守る第一歩となります。外出時は手洗いやうがい、マスクの着用などで感染対策を意識しましょう。屋内では、乾燥しやすい季節には加湿を心がけ、こまめな換気などの工夫が、かぜに負けない身体づくりにつながります。

記事監修

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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