ジェネリック医薬品とは? メリットや注意するポイントを解説!

「ジェネリックにしますか?」と聞かれるけれど……

薬局で「ジェネリックにしますか?」と聞かれ、返事に困った経験はありませんか?
ジェネリック医薬品は、新しい薬(先発医薬品)の特許が切れた後に製造・販売される医薬品で、先発医薬品と同等の安全性・効果を持ちます。
実は患者さまにとってメリットが多いジェネリック医薬品について、詳しくご紹介します。

POINT1
安全性や効き目は先発医薬品と同等

  • ジェネリック医薬品の安全性や効果は先発医薬品と同等であることを国が証明

     

  • 国も使用を推進しており、ジェネリック医薬品の使用数量のシェアは現在約80%

POINT2
多くの場合、先発医薬品よりお財布に優しい

  • 薬価は先発医薬品と比べて5割程度、場合によってはそれ以上安いことも

     

  • 慢性疾患などで長く薬を服用する患者さまにとっては大きな負担軽減に

POINT3
より飲みやすい薬へ進化

  • 服用しやすいように大きさや味・香りなどを改良したものも

     

  • 先発医薬品からの切り替えが不安な場合は、短期間のお試しが可能

ジェネリック医薬品とは?

薬には「先発」と「後発」がある

新しい薬(先発医薬品)が生まれたとき、その開発メーカーには20~25年程度の特許期間(独占的に販売できる期間)が認められます。
それを過ぎると、その薬の有効成分や製法などは国民共有の財産に(図1)。
ほかの医薬品メーカーも、承認を得れば同じ有効成分を同量含む薬の製造・販売が可能になります。
こうして製造・販売される薬がジェネリック医薬品と呼ばれ、特許切れの先発医薬品と同等の安全性・有効性を持ちます。
「先発」医薬品に対して「後発」医薬品と呼ばれることもあります。

2023年9月現在、日本におけるジェネリック医薬品の使用数量のシェアは80%程度で、国もさらなる拡大を後押ししています。
また、かぜ薬、生活習慣病治療薬、抗生物質など、ジェネリック医薬品の種類も拡大しており、より多くの方が利用できるようになってきています。

先発医薬品の特許期間とジェネリック医薬品の関係(図1)

先発医薬品の特許期間とジェネリック医薬品の関係の図。A社が薬を研究開発し、その中で特許出願をする。特許期間は20〜25年。薬は新薬(先発医薬品)として承認・販売される。他社も薬を研究・開発する。薬はA社の特許期間終了後にジェネリック医薬品(後発医薬品)として承認・販売される。

出典:政府広報オンライン「安心してご利用ください ジェネリック医薬品」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201309/4.html

先発医薬品の特許期間とジェネリック医薬品の関係(図1)

先発医薬品の特許期間とジェネリック医薬品の関係の図。A社が薬を研究開発し、その中で特許出願をする。特許期間は20〜25年。薬は新薬(先発医薬品)として承認・販売される。他社も薬を研究・開発する。薬はA社の特許期間終了後にジェネリック医薬品(後発医薬品)として承認・販売される。

出典:政府広報オンライン「安心してご利用ください ジェネリック医薬品」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201309/4.html

厳しい審査をクリアしているから安心

ジェネリック医薬品は先発医薬品と同一の有効成分を同量含むため、効果や用法・用量は基本的に同じです。
安全性においては、使用後の血中薬物濃度を測定し、先発医薬品と比較検証するなど、国の承認審査で数多くの項目をクリアすることが求められます。
「安全性と効果が先発医薬品と同等」と証明されたものだけが販売されるため、安心して使用できるのです。

ジェネリック医薬品ならではのメリット

薬をより低価格で入手可能に

一般的に、先発医薬品には数百億~数千億円という莫大な研究開発費がかかります。
一方、その成果をもとに生み出されるジェネリック医薬品では、研究開発費を大幅に抑制が可能。
その結果、先発医薬品に比べて薬価が5割程度になることが多く(さらに低価格になることも)、患者さまの窓口負担が軽くなります
特に、複数の薬を服用したり、長期の服用が必要だったりする方にとっては、大きな違いになります。
広い視野で見れば、ジェネリック医薬品は国民医療費の削減に寄与し、日本の優れた医療保険制度を次世代につなげるために一役買っているのです。

健康保険組合によっては、服用している先発医薬品をジェネリック医薬品に切り替えた場合に自己負担額が削減できる方に対して、案内(通知)を送る取り組みを行っているところもあります。
案内を受け取られた場合は、ジェネリック医薬品への変更を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、 2024年10月からは、同一の成分・効果を持つジェネリック医薬品があるにもかかわらず先発医薬品をご希望の場合、患者さまの窓口負担額が増えます
詳しくは薬局へお問い合わせください。

厚生労働省「令和6年10月からの 医薬品の自己負担の新たな仕組み」

飲みやすさなど改良した製品も

先発医薬品から、さらに工夫が加えられたものも少なくありません。
飲みやすくするために味やにおいなどを改良した製品や、湿気・光に強い性質へと改良し、保存性を高めた製品もあります。

また、1錠当たりの用量の種類が増え、例えば、先発医薬品では4mgの錠剤のみだった薬が、ジェネリック医薬品では2mgや6mgなどの錠剤が追加されるケースも。

あいちゃんのイラスト。髪を後ろでひとつ結びにした白衣を着ている女性。

従来、処方内容によっては4mgの錠剤を半分に割る必要がありましたが、2mgの錠剤があれば準備の手間が省け、調剤にかかる時間が短縮されます。

いつもの薬に飲みにくさや不便さを感じている場合も、ジェネリック医薬品への切り替えで解消できる可能性があるわけです。

ジェネリック医薬品を選ぶときの注意点

先発医薬品と完全に同じ成分というわけではない

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と比較して同量の主成分が含まれていますが、薬を飲みやすくする添加物などの種類や配合量は異なります。
そのため、使用後に違和感があったり、添加物由来の副作用が出たりする可能性もあります。

いきなりジェネリック医薬品に切り替えるのが不安という方は、処方箋に記載されている一部の期間だけジェネリック医薬品を調剤してもらう方法(分割調剤)もあります。
一度試してみて、体調の変化や副作用が疑われる症状がないかを確認したうえで、ジェネリック医薬品を継続するか、先発医薬品に戻すか判断しても良いでしょう。

製品の形状や名称が異なる

先発医薬品とジェネリック医薬品では形や大きさが違うことがあり、患者さまの中には「以前の方が飲みやすかった」と感じる方がいます。
また、先発医薬品と製品名が異なるため「本当に同じ薬なの?」と不安を抱く方もいます。
気になることがあれば、お気軽に薬剤師へご相談ください。

ジェネリック医薬品に変えられないものもある

ジェネリック医薬品は、すべての先発医薬品に対して存在するわけではありません。
また、先発医薬品と添加物が異なり、アレルギーなどの観点から選択できないケースもあります。
先発医薬品での処方が適切であると医師が判断した場合は、処方箋の「変更不可」欄にチェックが入れられています(図2)。

ジェネリック医薬品の変更可否について(処方箋の一例)(図2)

ジェネリック医薬品の変更可否についての処方箋の一例。処方箋のイメージがあり、「処方」の表がピックアップされている。表の見出しは「変更不可(医療上必要)」と「患者希望」。1行目は枠に1と書かれ強調されている。内容は「変更不可(医療上必要)」と「患者希望」にチェック等はなし、薬は「テノーミン錠50mg 1錠 分1」。2行目は枠に2と書かれ強調されている。内容は「変更不可(医療上必要)」にチェックがあり、患者希望にチェック等はなし、薬は「ノルバスクOD錠 5mg 1錠 分1」。3行目は枠に3と書かれ強調されている。内容は「変更不可(医療上必要)」と「患者希望」にチェック等はなし、薬は「(一般名)ファモチジン錠 20mg 2錠 分2」。1から3の説明は次の通り。1.「変更不可」欄にチェックのない薬は、ジェネリック医薬品へ変更可能。2.「変更不可」欄にチェックのある薬は、ジェネリック医薬品へ変更不可。3.一般名処方の場合は、ジェネリック医薬品か先発医薬品を選択可能。

出典:政府広報オンライン「安心してご利用ください ジェネリック医薬品」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201309/4.html

ジェネリック医薬品の変更可否について(処方箋の一例)(図2)

ジェネリック医薬品の変更可否についての処方箋の一例。処方箋のイメージがあり、「処方」の表がピックアップされている。表の見出しは「変更不可(医療上必要)」と「患者希望」。1行目は枠に1と書かれ強調されている。内容は「変更不可(医療上必要)」と「患者希望」にチェック等はなし、薬は「テノーミン錠50mg 1錠 分1」。2行目は枠に2と書かれ強調されている。内容は「変更不可(医療上必要)」にチェックがあり、患者希望にチェック等はなし、薬は「ノルバスクOD錠 5mg 1錠 分1」。3行目は枠に3と書かれ強調されている。内容は「変更不可(医療上必要)」と「患者希望」にチェック等はなし、薬は「(一般名)ファモチジン錠 20mg 2錠 分2」。1から3の説明は次の通り。1.「変更不可」欄にチェックのない薬は、ジェネリック医薬品へ変更可能。2.「変更不可」欄にチェックのある薬は、ジェネリック医薬品へ変更不可。3.一般名処方の場合は、ジェネリック医薬品か先発医薬品を選択可能。

出典:政府広報オンライン「安心してご利用ください ジェネリック医薬品」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201309/4.html

「ジェネリックを希望します」と伝えてみよう

使用したい場合、医師や薬剤師に「ジェネリックを希望します」と伝えるだけでOKです。
対応するジェネリック医薬品があるのかなど、相談してみましょう。

あいちゃんのイラスト。髪を後ろでひとつ結びにした白衣を着ている女性。

アイン薬局で薬と一緒にお渡しする「お薬説明文書」には、服用中の先発医薬品に対応するジェネリック医薬品の有無が記載されています。参考にしてください。

お薬説明文書のイメージ

「お薬説明文書」のイメージ図。2種類の薬の説明が表で記載されている。表の見出しは「No.」「薬の名前」「薬の写真」、服用タイミングとして「起」「朝」「昼」「夕」「寝」。No.1の薬は■■顆粒。説明として「白色の顆粒剤です メーカー名:A社 一般名:●●● 薬価は6.4円です ◆後発医薬品は□□(薬価は6.2円)があります」と記載されており、後発医薬品の部分が枠で強調されている。薬の写真に薬のパッケージ写真、服用タイミングとして「朝」「昼」「夕」に一包とあり、「毎食後にお飲みください」と説明されている。服用タイミングの下部に数量の記載、「7日分」「1日分3包」。No.2の薬は▲▲錠。説明として「白色の錠剤です 021 メーカー名:B社 一般名:▼▼▼ 薬価は9.9円です ◆後発医薬品は存在しません」と記載されており、後発医薬品の部分が枠で強調されている。薬の写真に薬のパッケージ写真、服用タイミングとして「朝」「昼」「夕」に一包とあり、「毎食後にお飲みください」と説明されている。服用タイミングの下部に数量の記載、「7日分」「1日分 6錠(1回2錠)」。後発医薬品の部分の強調について「ジェネリック医薬品情報はこちらをチェック」と書かれている。

まずは薬剤師へ気軽に相談を!

ジェネリック医薬品は1つの先発医薬品に対して数種類あることも多いため、アイン薬局では安全性や経済性の観点から適切な薬をしっかりと選定しています。
また、アイングループ内に医薬品の専門卸を抱えているため、迅速に対応できることも特徴です。
気になることや疑問があったら、アイン薬局の薬剤師にご相談ください。

参考文献・資料

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