正しく知ろう!ステロイド外用剤の塗り方と副作用

ステロイド外用剤(塗り薬)は、さまざまな皮膚疾患の治療に幅広く使われています。
一方で、副作用に対するイメージから、ステロイド外用剤の使用を躊躇する方もいます。
ステロイド外用剤の効果を最大限引き出すためには、使い方や副作用など正しい知識を押さえることが大切です。

ステロイドって副作用が強いと聞いたけど、 使って大丈夫?

ステロイド外用剤は正しく使うことで、すぐれた治療効果を得られる頼もしい薬です!
正しい知識を押さえて上手に使いましょう!

ステロイド外用剤の種類と使い分け

ステロイド薬は、副腎という臓器から分泌される副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)を主成分とする薬です。
この主成分は炎症を抑えるなどの働きがあるため、湿疹や皮膚炎の治療に使われています。

ステロイド外用剤は、効果の強さで5段階に分けられ、患部の位置と症状に応じて使い分けます。
医師の処方がなければ使えないものもありますが、ストロング~ウィークのステロイド外用剤は市販されています。
ただし、市販薬を1週間ほど使っても症状に改善が見られず、肌に合わないと感じた場合は、使用を中止して専門医を受診してください。

ステロイド外用剤のランク(効果の強さ)

ステロイド外用剤のランク(効果の強さ)を示した図。薬の強さが強い順に、ストロンゲスト:炎症が非常にひどい場合に使用(手足の難治性湿疹など)。ベリーストロング:慢性的な炎症が治らない場合や急性の炎症をただちに阻止したい場合に使用。ストロング:皮膚が赤く炎症を起こしていてかゆみが強い場合に使用。ミディアム、ウィーク:症状が軽い場合、患部がデリケートな部位である場合、子どもや乳幼児などに使用。

ステロイド外用剤のランク(効果の強さ)

ステロイド外用剤のランク(効果の強さ)を示した図。薬の強さが強い順に、ストロンゲスト:炎症が非常にひどい場合に使用(手足の難治性湿疹など)。ベリーストロング:慢性的な炎症が治らない場合や急性の炎症をただちに阻止したい場合に使用。ストロング:皮膚が赤く炎症を起こしていてかゆみが強い場合に使用。ミディアム、ウィーク:症状が軽い場合、患部がデリケートな部位である場合、子どもや乳幼児などに使用。

ステロイド外用剤の副作用

ステロイド薬には、外用剤のほかにも、貼付薬、吸入薬、内服薬、点滴などがあり、この中で全身性副作用の可能性があるのは、主に内服や点滴などでステロイド薬を使う場合です。
外用剤の場合は体内への吸収量が少ないので、使用範囲が局所的(身体の一部)であれば、副作用が現れたとしても使用部分にとどまります。

ステロイド外用剤による局所性副作用とは、例えば次のようなものです。

  • 毛が濃くなる
  • 皮膚が薄くなる
  • にきびができやすくなる
  • 皮膚が赤くなる
  • 皮膚の抵抗力が低下して感染が起こりやすくなる

ただし、ほとんどの場合ステロイド外用剤を塗った部位に一時的にあらわれるだけなので、医師や薬剤師に相談し、適切な対処をしてください。

ステロイド外用剤の正しい使い方

正しい塗り方

ステロイド外用剤は、FTU(フィンガーチップユニット)という目安に基づいて塗ることが推奨されています。
「1FTU=大人の人差し指の第1関節までの長さ」の量(約0.5g)を大人の手のひら2枚分くらいの範囲に塗ることができます。
このとき、薄くのばし過ぎるとムラが生じて治りが遅くなる可能性があります。
塗ったところにテカリが出るくらいを目安にのばしましょう。
保湿剤とステロイド外用剤を一緒に使うときは、保湿剤を先に塗ってから、ステロイド外用剤を炎症のある部位のみに塗り重ねます。

医師の指示や薬の用法・用量を守り、正しく使いましょう。

1FTUのイメージ

1FTUのイメージ図。チューブから薬を人差し指に出しているイラスト。「第1関節分約(0.5g)を」。大人の両手のひらのイラスト。「大人の手のひら2枚分くらいの広さの患部に」

剤型の種類

ステロイド外用剤には、さまざまな剤型が用意されています。
剤型によって皮膚への吸収率が異なるので、患部に適したものを使用することが大切です。

ステロイド外用剤の剤型の種類

ステロイド外用剤の剤形の種類と特徴を示した表。見出しは「剤型の種類」、「特徴」。1行目は「軟膏」。特徴は次の3つ。刺激が少なく、患部を保護する作用がある。乾燥/湿潤どちらの患部にも使用できる。べたつき感がある。2行目はクリーム。特徴は次の3つ。のびやすく使用感が良い。乾燥した患部に適している。軟膏に比べて、べたつき感が少ない。3行目はローション。特徴は次の2つ。軟膏やクリームを使用しにくい頭髪部などに適している。湿潤した患部には向いていない。4行目はスプレー。特徴は次の3つ。軟膏やクリームを使用しにくい頭髪部などに適している。背中など、手が届きにくい部位に使用できる。使用量がわかりにくく、正常な皮膚にも散布する恐れがある。5行目はジェル。特徴は次の2つ。炎症部位がかさついている場合や、脂漏性の皮膚炎に適している。湿潤した患部には向いていない。

ステロイド外用剤の剤型の種類

ステロイド外用剤の剤形の種類と特徴を示した表。見出しは「剤型の種類」、「特徴」。1行目は「軟膏」。特徴は次の3つ。刺激が少なく、患部を保護する作用がある。乾燥/湿潤どちらの患部にも使用できる。べたつき感がある。2行目はクリーム。特徴は次の3つ。のびやすく使用感が良い。乾燥した患部に適している。軟膏に比べて、べたつき感が少ない。3行目はローション。特徴は次の2つ。軟膏やクリームを使用しにくい頭髪部などに適している。湿潤した患部には向いていない。4行目はスプレー。特徴は次の3つ。軟膏やクリームを使用しにくい頭髪部などに適している。背中など、手が届きにくい部位に使用できる。使用量がわかりにくく、正常な皮膚にも散布する恐れがある。5行目はジェル。特徴は次の2つ。炎症部位がかさついている場合や、脂漏性の皮膚炎に適している。湿潤した患部には向いていない。

その他の注意点

(1)自己判断で使用を中止しない

ステロイド外用剤は、症状が治まったと思って塗るのをやめると、症状がぶり返すことがあります。
炎症を繰り返す場合やアトピー性皮膚炎などで医師の指示があるときは、塗る期間、中止する期間を守りましょう。
医師の指示に従っていても、細菌への感染などで症状が悪化することもあります。
その場合は早めに再受診してください。

(2)粘膜には専用の軟膏を使う

眼や口腔の粘膜は薬の吸収率が高いため、専用の「ステロイド眼軟膏」や「口内炎用のステロイド軟膏」を使用しましょう。

(3)過去に処方された薬を使用しない

ステロイド外用剤は、患部の位置と症状に応じて使い分ける必要があります。
症状に合わないステロイド外用剤を使い続けると、症状の悪化や慢性化につながりかねません。
過去に処方された薬は自己判断で使い回さず、医師の診断を受け、新たに処方されたステロイド外用剤を使用しましょう。

公式アプリの活用でさらに便利・安心!

薬の内容によりますが、ステロイド外用剤などの塗り薬は複数の塗り薬を混ぜる場合があり、調剤に時間がかかることがあります。
そこでおすすめなのが、公式アプリ「いつでもアイン薬局」。

処方箋送信機能を活用すれば、薬局での待ち時間を短縮できます。※1
簡単操作で、処方箋画像を薬局へ送信。薬ができたらアプリでお知らせいたします。

また、塗り方や副作用など不安なことがある場合、安心お薬サポート機能を活用すれば、チャットやビデオ通話を使って薬剤師に気軽に相談できます。※2
薬局まで足を運ばなくて良いので、便利です。

※1 処方箋の有効期限内〔発行日を含めて原則4日間〕に原本のご提出が必要です。電子処方箋の場合は処方内容(控え)を撮影してください。電子処方箋対応薬局は、薬局選択時もしくは薬局検索画面から確認できます。
※2 ご利用には「アイン薬局とつなぐ」のご登録が必要です

参考文献・資料

記事監修

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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