ぎっくり腰で負担をかけない楽な寝方って?

突然の腰の痛みで、立つことも座ることもつらいぎっくり腰。「痛みで眠れない」「寝返りがうてない」「横になるのがつらい」など、夜寝るときの姿勢に悩む方も多いでしょう。実は、寝るときの姿勢を少し工夫するだけで、腰への負担をやわらげることができます。

今回は、ぎっくり腰のときに試したい楽な寝方や、回復を早めるために気をつけたいポイントをご紹介します。

ぎっくり腰とは?どんなときになるの?

まずはぎっくり腰そのものについて理解を深めておきましょう。どんな状態なのか、どのような場面で起こりやすいのかを知っておくと、日ごろの予防や対処にも役立ちます。

ぎっくり腰とはどういう状態?

ぎっくり腰は、突然腰に激しい痛みが走る症状のことで、医学用語では「急性腰痛症」と呼ばれています。欧米では「魔女の一撃」とも呼ばれるほど、耐えがたい強い痛みが特徴です。

関節や筋肉などが傷ついた状態と考えられており、どうして起こるのかについては、いまも研究が続けられています。

多くの場合、ぎっくり腰の痛みは数日~10日ほどで楽になっていきます。ただし、2週間以上痛みが続く場合や脚にしびれがあるときは、医療機関で診てもらうことをおすすめします。

また、ぎっくり腰のように激しい腰痛がみられる「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」や「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」は、腰の骨や神経に問題が起きている病気です。これらの病気は、腰の痛みだけでなく、脚のしびれや力が入りにくいなどの症状が出ることがあります。

ぎっくり腰になる原因

ぎっくり腰は、日常の何気ない動作が発症の引き金となることが多いのが特徴です。

  • 重い物を持ち上げようとしたとき
  • 急に身体をひねったとき
  • 激しいくしゃみやせきをしたとき
  • 身体を急に起こそうとしたとき
  • 下に落ちた物を拾おうとしたとき

これらの動きには、「腰椎(腰の骨)や椎間板などのクッション部分に急に大きな力が加わる」という共通点があります。特に、中腰は腰に強い負担がかかりやすい姿勢です。

また、日ごろの姿勢の悪さや運動不足が原因で、腰が疲労しやすい状態になっていることも発症の背景に考えられます。

ぎっくり腰でも腰に負担をかけない寝方

ぎっくり腰になると、ちょっとした振動でも痛みを伴います。そのため、なるべく腰に負担をかけず、少しでも楽に過ごすためには寝るときの姿勢が重要です。そこで、腰への負担をやわらげる寝るときのちょっとした工夫をご紹介します。

仰向けの場合

仰向けに寝たい場合、膝の下にタオルや毛布、クッションなどを入れて、膝を少し曲げた状態で寝ると腰への負担が軽くなります。

膝が90度くらいに曲がるようにしてみましょう。この姿勢だと腰の筋肉がこわばるのを防げるだけでなく、痛みもやわらげることができます。

タオルやクッションの高さは、自分が一番楽だと感じる位置に調整してみてください。無理のない姿勢で休むことが、回復への第一歩です。

一方、脚をまっすぐ伸ばした状態で寝ると、腰が反った姿勢になり、腰の筋肉に力が集中して痛みが増すため注意が必要です。

横向きの場合

横向きの寝方は、腰への負担が少なく寝返りもしやすい姿勢です。

横向きで寝るときも膝を少し曲げて寝ると、腰の痛みがやわらぎます。さらに、両膝の間に丸めたタオルや毛布、クッションなどを挟むと、身体が安定し楽に感じられるでしょう。

また、抱き枕を使うのも効果的です。抱き枕は体重を分散させてくれるため、腰への負担を軽くできます。

腰の片側だけ痛みがひどい場合は、痛い方を上にして横になるのが良いでしょう。痛い方を上にすることで、患部側が直接圧迫されにくくなり、筋肉がリラックスしやすくなるため、楽に感じることがあります。

ぎっくり腰になったときに注意したいこと

ぎっくり腰になると、痛みをやわらげようといろいろな方法を試したくなるでしょう。しかし、ふだんの何気ない習慣や良かれと思ってしている対策が、かえって腰の治りを遅らせる原因になることがあります。

うつ伏せで寝ないようにする

ぎっくり腰になった際には、うつ伏せで寝ないようにしましょう。
うつ伏せは腰が反りやすい姿勢のため、腰に負担がかかりやすくなります。

また、うつ伏せの姿勢を長時間続けると、腰の筋肉が緊張し、血の巡りが悪くなることがあります。特に、起床時にうつ伏せの状態から腰の力だけで起き上がろうとすると、痛みが強くなることがあるため注意が必要です。

腰の下にクッションやタオルを置かないようにする

ぎっくり腰で横になるとき、腰の下にクッションやタオルを入れたくなるかもしれませんが、クッションやタオルなど厚みのあるものを腰の下に入れると、背中が曲がり、腰が大きく反った姿勢になってしまいます。 腰が反った姿勢は、痛めている部分に大きな負担がかかり、身体のバランスも取りにくくなるため、ゆっくり休むことが難しくなります。

そのため、ぎっくり腰の際には、腰の下にクッションやタオルを置かないようにしましょう。

コルセットをつけたまま寝ないようにする

コルセットをつけると、腰がしっかり支えられて日中の動作が楽になりますが、寝るときは必ず外すようにしましょう。

コルセットで腰を長時間締め付けると、血の巡りが滞り、痛みが改善しにくくなることがあります。痛みが落ち着いてきたら、日中もコルセットをつける時間を徐々に短くすることで、より早い回復につながります。

なお例外として、骨折や手術の後に、就寝中もコルセットでの固定が不可欠な場合があります。医師から特別な指示がある場合はその指示を守るようにしましょう。

身体を固定した状態で寝ないようにする

同じ姿勢が続くと体重が特定の部位に集中し、血の巡りが悪くなって回復を遅らせることがあるため、身体を固定したまま寝るのは避けましょう。

寝返りには、体重を分散させて緊張をほぐす大切な役割があります。痛みがあっても、できる範囲で寝返りをうつように心がけましょう。また、やわらかすぎる寝具は身体が沈んで寝返りがうちにくいため、やや硬めのマットレスで寝るのがおすすめです。

寝返りや起き上がるときは、無理に動かさないように、まずおなかに軽く力を入れて体幹を安定させ、上半身と下半身が別々に動かないよう意識しましょう。

横向きになって手で身体を支えながら、ゆっくりと起き上がると腰への負担を減らせます。急な動きや勢いをつけた動作は避け、時間をかけて丁寧に身体を動かすことがポイントです。

ぎっくり腰になったときの対処法

ぎっくり腰になったときは、落ち着いて対処することが大切です。痛みがある中でも、正しい知識があれば慌てずに行動できます。

まずは横になって安静にする

ぎっくり腰になったら、まずは横になって安静にすることが大切です。突然の痛みに襲われたら、無理に動かず、壁に寄りかかって休むか、楽だと感じる姿勢で横になりましょう。

痛みが強いときは、横向きに寝て腰を丸めた姿勢をとると楽になることがあります。痛みが落ち着くまでは、ゆっくりと深呼吸を繰り返しましょう。

痛みが落ち着いて少し動けるようになったら、休み続けるよりも、無理のない範囲でふだん通りの生活を心がける方が、回復が早まることがわかっています。

強い痛みやしびれがある場合は病院へ

痛みが強くて日常生活を送ることが難しい場合や、症状が2週間以上続く場合は、整形外科を受診しましょう。特に脚に痛みやしびれがある、力が入りにくいといった症状があるときは、早めの受診をおすすめします。これらは腰の神経に負担がかかっているサインの可能性があり、適切な診断と治療を受けることが大切です。

さらに、脚に力が入らない、排尿や排便が上手くできないといった症状を伴う激しい痛みがある場合は、すぐに受診してください。腰の重要な神経に問題が起きている可能性があり、すぐに治療が必要です。

これらの危険な症状があり、加えてひとりで動けない状態である場合は、迷わず救急車を呼びましょう。

適度な運動や姿勢の改善でぎっくり腰を予防しよう!

ぎっくり腰になったときは、膝を曲げた姿勢で寝ると腰への負担がやわらぎます。仰向けで寝る場合は膝の下に、横向きで寝る場合は膝の間にクッションなどを入れると、痛みが軽くなるでしょう。

また、ぎっくり腰を繰り返さないためには、日ごろから正しい姿勢を意識し、適度な運動を続けることが大切です。立っているときや座っているときは、背骨が緩やかなS字を描くように意識しましょう。

さらに、ウォーキングやストレッチなど無理のない運動で腰の筋肉を柔軟に保つことも重要です。おなかや背中の筋肉を鍛えると、腰をしっかり支えられるようになります。今日からできることをひとつずつ、実践してみましょう。

参考文献・資料

記事監修

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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