貧血でふらふら…めまいや立ちくらみの対処法

貧血になると、めまいや立ちくらみでふらふらすることがあります。突然のめまいに不安を覚える方も多いのではないでしょうか。

もしそのような症状が現れた場合は、安全を確保しつつ、その場にしゃがみ込み安静にしましょう。ズボンのベルトやボタンを緩め、症状が治まるまで身体を休めてください。こうした症状は一時的なものでも、対応を誤ると体調の悪化や転倒につながることがあります。

今回は、貧血によるめまいや立ちくらみが起きたときの正しい対処法、注意点に加えて、回復を助ける工夫をわかりやすくご紹介します。

貧血でめまいや立ちくらみはなぜ起きるの?

貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足し、全身に十分な酸素を運べなくなる状態をいいます。赤血球に含まれるヘモグロビンは、肺で取り込んだ酸素を身体中に届ける重要な役割があります。

そのため、貧血になると脳や筋肉が酸素不足に陥り、エネルギーを十分に作り出せなくなります。特に、脳は酸素を多く必要とするため、酸素が不足するとめまいや立ちくらみが起こりやすくなるのです。

ヘモグロビンを作るためには鉄分が不可欠であり、鉄分が不足すると赤血球を十分に作ることができず、酸素を運ぶ力が低下します。鉄分不足は貧血の主な原因のひとつであり、特に食事での鉄分摂取が少ない場合や、月経などで鉄分を多く失う場合に起こりやすくなります。

女性は月経による鉄分の損失が多く、鉄欠乏性貧血を起こしやすいため、こうした症状が起こりやすい傾向があります。

貧血以外で起きるめまいや立ちくらみの特徴

貧血以外にも、めまいや立ちくらみはさまざまな要因によって起こることがあります。耳、神経、血圧、心臓、自律神経など、関係する部位は多様で、原因によって対処法や受診すべき診療科も異なります。そのため、どのような症状がどの程度続くかや、体調との関係を見分けることが大切です。

ぐるぐるめまい(回転性めまい)

  • 代表的な疾患
    良性発作性頭位めまい症、メニエール病
  • 症状
    突然、周囲が回転しているように感じ、ふらつきや吐き気を伴います。発作は、数十秒~数分で治まることもあれば、数時間続く場合もあります。頭を動かしたときや寝返りをうったときに強く感じることがあり、メニエール病では耳鳴りや難聴を伴うこともあります。
  • 主な原因
    内耳や平衡(へいこう)感覚をつかさどる神経、リンパ液の異常、耳石の移動、ストレスなどが関係しています。

こうしためまいが続く場合は、耳鼻咽喉(じびいんこう)科を受診して原因を調べることが大切です。

ふわふわめまい(浮動性めまい)

  • 代表的な疾患
    自律神経失調症、更年期障害、起立性低血圧
  • 症状
    貧血によるめまいとは異なり、「ふわふわ浮いたような」「地に足がつかないような」感覚になります。持続的にふらつきを感じるのが特徴で、立ち上がったときだけでなく、座っていても不安定に感じることがあります。また、動悸(どうき)、息苦しさ、手足の冷えなどを伴うこともあります。
  • 主な原因
    自律神経の乱れや血圧の急な変動によることが多く、過労、睡眠不足、ストレスなどが関係しています。

症状が長引くときや日常生活に支障を感じる場合は、まず内科や神経内科を受診し、必要に応じて耳鼻咽喉科などの専門科で詳しく検査を受けましょう。

一瞬気が遠くなるようなめまい

  • 代表的な疾患
    起立性低血圧、心疾患(不整脈など)
  • 症状
    立ち上がった瞬間や急に姿勢を変えたときに、目の前が暗くなったり意識が遠のくように感じたりするめまいで、いわゆる「立ちくらみ」と呼ばれる症状です。数秒から数十秒で治まることが多いですが、頻繁に起こる場合や意識を失うようなことがある場合には注意が必要です。
  • 主な原因
    一時的に脳への血流が減少することで起こります。これには、自律神経の乱れからくる起立性低血圧をはじめ、脱水や睡眠不足、過度の疲労といったさまざまな要因が関係しています。

このような症状の背景には、不整脈などの心疾患が隠れていることもあります。繰り返す場合は内科や循環器内科の受診をおすすめします。

耳鳴りを伴うめまい

  • 代表的な疾患
    メニエール病、突発性難聴
  • 症状
    めまいに加えて「キーン」「ゴー」といった耳鳴りや耳が詰まった感じを伴います。メニエール病では回転性のめまいや難聴を繰り返し、突発性難聴では急に片方の耳が聞こえにくくなることもあります。
    症状は数分から数時間続くことがあり、放置すると聴力の回復が難しくなるケースもあります。
  • 主な原因
    耳の内部(内耳や聴神経)の異常が考えられます。具体的には、内耳のリンパ液が過剰にたまり、圧が高まることなどが関係しています。

耳鳴りやめまいが同時に現れた場合は、できるだけ早めに耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査などで原因を確認しましょう。

貧血でめまいや立ちくらみが起きたときの対処法

貧血によるめまいや立ちくらみが起きたときは、まず酸素供給の不足を改善することが重要です。貧血では赤血球やヘモグロビンの減少により脳への酸素供給が一時的に低下するため、身体を動かすと酸素需要が増し、さらに症状が悪化します。まずは安静にして血流を安定させることが基本です。

その場にしゃがむ

めまいや立ちくらみを感じたら、転倒を防ぐためにまずは体勢を低くすることが重要です。その場ですぐにしゃがむか、座れる場所があれば座りましょう。立ったまま我慢すると、意識を失って転倒し、頭を打つなどの重大なけがにつながる危険があります。

周囲に人がいる場合は、「少しめまいがするので」と声をかけ、助けを求めましょう。支えてもらったり、椅子を用意してもらうことで、より安全に対処できます。症状が改善しても、すぐに立ち上がるのは避けてください。

まず足首や足の指を動かして血流を促し、数分様子を見てから、ゆっくりと立ち上がりましょう。急に体勢を変えようとすると再びめまいを引き起こす可能性があります。症状が繰り返す場合や長時間続く場合、意識がはっきりしない場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。

ショック体位をとる

めまいや立ちくらみで倒れそうなとき、横になれる状況であれば「ショック体位」をとりましょう。ショック体位とは、仰向けに寝て、足を頭より15〜30cmほど高く上げる姿勢のことです。

この姿勢により、下半身の血液が心臓や脳に戻りやすくなり、症状が早く改善します。足を高くする際、布団やクッションを足の下に置くのが理想的ですが、外出先ではカバンやリュック、丸めた上着、階段の段差などを活用できます。周囲の人に足を支えてもらったり、壁に足を立てかけたりするだけでも効果があります。理想の姿勢がとれなくても、可能な範囲で頭を低く、足を高くすることを心がけましょう。

症状が強い場合や意識がはっきりしない場合、激しい頭痛や胸痛、呼吸困難を伴う場合は、すぐに119番で救急要請を行いましょう。

衣服をゆるめる

めまいや立ちくらみを感じたときは、身体を締めつけている衣服をゆるめましょう。ベルト、ネクタイ、下着、襟元などの圧迫をやわらげることで、血流や呼吸がスムーズになり、体内に酸素が行きわたりやすくなります。

貧血などで血圧が低下しているときは、少しの締めつけでも脳への血流が妨げられ、症状が悪化することがあります。そのため、衣服をゆるめることは回復を助ける重要な対応です。

貧血でめまいや立ちくらみが起きたときに避けるべき行動

貧血によるめまいや立ちくらみを感じたときは、まずは安全な場所で座るか横になり、頭を低くして安静にしましょう。身体を起こす際はゆっくりと行い、脱水の可能性がある場合は少しずつ水分を補給します。症状を悪化させないため、以下の行動は避けてください。

避けるべき行動

  • 急に立ち上がったり、無理に身体を動かしたりする
  • ふらつきがある中で、無理に歩き続ける(転倒や失神のリスクがあります)
  • 一度に多量の水分を補給する(胃に負担がかかり、吐き気を誘発します)
  • 吐き気やおう吐がある状態で、無理して水分を摂る

めまいや立ちくらみが起きたら安静を心がけよう

貧血によるめまいや立ちくらみを感じたときは、まず無理をせず安静にすることが大切です。症状が治まるまでは急に立ち上がらず、ゆっくり身体を起こしましょう。また、無理に仕事や家事を続けず、静かな環境で休息を取ることで回復が早まります。

特に女性は、月経などによる鉄分の欠乏が原因であることが多いですが、甲状腺疾患や消化器疾患などの病気が隠れている場合もあります。たびたび貧血の症状が起こる場合は、内科を受診し、血液検査で原因をしっかり確認することが重要です。

参考文献・資料

記事監修

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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