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糖尿病の基礎知識
血糖コントロールのカギとなる「食事療法」

公開日:2023/8/25

おさらいしよう!糖尿病のこと

前回の記事では糖尿病がどういう病気なのか解説しました。
簡単におさらいしましょう。

糖尿病は、日本人の5~6人に1人が患っており、現代の国民病とも言える身近な病気です。
糖尿病には大きく分けて2つのタイプ(1型糖尿病と2型糖尿病)があり、日本の糖尿病患者の約95%は2型糖尿病です。

2型糖尿病では、血糖値をコントロールするホルモンのインスリンがうまく働かず、血糖値が不安定になります。
しかし、目立った初期症状はなく、発見が遅れることもしばしば。
高血糖が続くと、動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中に至るケースもあります。
その他、網膜症、腎症、神経障害といった重大な合併症も起こりうるので、早期発見・早期治療が重要です。

そして、2型糖尿病の発症には、生活習慣が大きく関与しています。
表1のチェックリストに当てはまる方は、特に注意が必要です。

2型糖尿病を招く生活習慣とリスク因子(表1)

運動不足である

朝食を抜く、間食が多い、夕食が遅い、早食いである

きのこ類・海藻・野菜・果物の摂取が少ない

喫煙者である、禁煙して体重が増えた

アルコール日本酒換算で平均1日2合以上吞んでいる

体重が多い、最近体重が増えた

高血圧症がある

親兄弟(姉妹)が糖尿病だ

糖質やGIに注目して食品を選ぼう

先述の通り2型糖尿病は生活習慣の乱れから発症するケースが多いので、生活習慣を整えることが重要となります。
特に、血糖値に直接影響する食生活に留意することが不可欠です。
また、1型糖尿病の方も2型糖尿病とは異なる糖質管理が必要です。かかりつけ医や栄養士と相談したうえで取り組んでください。

近年よく耳にする「糖質」は、炭水化物から食物繊維を除いたものを指します。
摂取すると、腸から血液に吸収されて血糖値を上昇させ、身体活動に必要なエネルギー源になります。
適正な血糖コントロールを行うために、糖質量を意識しバランスのよい食生活に整えてください。
糖質が少なめの食品を選ぶことも効果的です。

糖質が多い食品・少ない食品の例(表2)

穀類

穀類

糖質が多い 糖質が少ない
白米、食パン、うどん 大麦・玄米・全粒粉等の精製度の低い穀物、全粒穀物を使ったパンやシリアルなどの加工食品
いも類

いも類

糖質が多い 糖質が少ない
じゃがいも さつまいも、さといも、やまいも
肉

糖質が多い 糖質が少ない
赤身、脂身、皮、レバー、ベーコン、ウインナー もも肉、ひれ肉、鶏肉の胸肉、ささみ
魚類

魚類

糖質が多い 糖質が少ない
いくら、たらこ等の魚卵 アジ、イワシ、サンマ等の青魚
乳製品

乳製品

糖質が多い 糖質が少ない
バター、生クリーム ヨーグルト、牛乳、チーズ
果物

果物

糖質が多い 糖質が少ない
缶詰の果物やドライフルーツ等の糖度の高いもの りんご、ぶどう、グレープフルーツ等の食物繊維が豊富なもの
菓子類

菓子類

糖質が多い 糖質が少ない
ジュース、アイスクリーム 低GI・低糖質に加工されたスイーツ
酒

糖質が多い 糖質が少ない
醸造酒(日本酒、ビール) 蒸留酒(焼酎、ウォッカ、ブランデー、ウイスキー)、赤ワイン
調味料

調味料

糖質が多い 糖質が少ない
みりん、中濃ソース、カレールウ しょうゆ、マヨネーズ、酢、カレー粉

その他、積極的に食べたい食材

豆製品(豆腐、納豆、高野豆腐)、食物繊維が豊富な野菜(トマト、ブロッコリー、小松菜、ほうれん草)、海藻類(ひじき、わかめ、もずく)、きのこ類

サラダ

近年は、低糖質食品だけでなく低GI食品が増えていて、スーパーやコンビニエンスストアでも購入できます。
GIは糖質の吸収の度合いを示す指標です。
GIが低い食品ほど摂取後の血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンが正常に働きやすくなります。
高GIの食品を控えたり、低GIの食品に置き換えたりする等、上手に工夫していきましょう。

食べ方を工夫しよう

食べる順番

野菜→タンパク質→炭水化物の順に食べると、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます(図1)。
血糖値が急激に上がると、それに対応してインスリンが大量に分泌され、空腹感による過食から糖尿病を招くリスクが高まってしまいます。
ポイントは、食物繊維を多く含む野菜を炭水化物よりも先に食べること。
食物繊維は消化・吸収を穏やかにしてくれるので、血糖値の急上昇を抑えることができるのです。
また、先に野菜や汁物で胃が満たされると、食べすぎを防ぐことにつながります。

食後血糖値が上がりにくい
「食べる順番」(図1)

食後血糖値が上がりにくい「食べる順番」(図1) 食後血糖値が上がりにくい「食べる順番」(図1)

ゆっくりと、よくかんで食べる

時間をかけてよくかむことで満腹中枢が働き、適度な食事量で満腹感が得られます。
それにより暴飲暴食を避けることができ、肥満予防にもつながります。

寝る前を避け、1日3食を規則正しく食べる

食事と食事の間隔をしっかり空けると、血糖値を下げる時間を確保でき、血糖値が安定しやすくなります。
その観点から、食事の回数も、朝・昼・間食・夜の1日4回より、朝・昼・夜の1日3回が望ましいです。
甘いものを食べたいときは、間食ではなく食後のデザートにするとよいでしょう。

また、食事の時間がバラバラで空腹の状態が長く続くと、過食につながりやすくなります。
できるだけ一定の間隔で食べることを意識してください。

バランスのよい食事

食べすぎがよくないことはもちろんですが、極端なダイエットにも注意が必要です。
一日に必要なエネルギー量や栄養素をしっかりと摂取し、健康的な食生活を送りましょう。
ポイントは、食品のバランスを意識すること。
三大栄養素を適切に摂取できるよう心がけてください(図2)。

2型糖尿病における三大栄養素の推奨摂取比率(図2)

2型糖尿病における三大栄養素の推奨摂取比率(図2) 2型糖尿病における三大栄養素の推奨摂取比率(図2)

運動も効果的

血糖値を下げるためには、食事だけでなく運動も効果的です。
食後1時間は避け、1回当たり30分程度、少し汗をかくくらいの運動を習慣化してみましょう。
ただし、運動の内容や強度について、事前に主治医と相談してください。

血糖の数値によっては、食生活の改善や運動と並行して飲み薬やインスリン注射を使った治療を行うこともあります。
インスリン注射は比較的症状の重い方、飲み薬では血糖コントロールが難しくなった方が対象となることが多いです。
インスリンの分泌がほとんどない1型糖尿病の方も対象となります。
症状が重くなる前に、生活習慣の改善や飲み薬で対処できるとよいですね。
薬を使った治療は長期にわたることもあるので、医師に指示されたことを守り、しっかりとコントロールしていきましょう。

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2型糖尿病では、日々の食事を見直すことが血糖コントロールを行ううえでとても大切です。無理せず、毎日の少しずつの頑張りを重ねていきましょう!

記事監修

野原 弘義

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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